研究課題/領域番号 |
21K06841
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 奈良県立医科大学 |
研究代表者 |
山内 晶世 奈良県立医科大学, 医学部, 助教 (70361110)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | インスリン / 翻訳制御 / 翻訳調節 |
研究開始時の研究の概要 |
血糖値(血液中のグルコース濃度)は膵臓から分泌されるインスリンとグルカゴンによって調節されている。膵臓のβ細胞はグルコース濃度の上昇に応答してインスリンを分泌するとともに、インスリンの生合成を増加させ、分泌によって減少したインスリンを補充する。グルコースによるインスリン生合成の増加は、インスリン mRNA からタンパク質を合成する翻訳の増加に依存しているが、その分子機構は不明である。本研究では、インスリン遺伝子を改変してグルコースに応答したインスリン生合成がどのように変化するかを解析することにより、グルコースによるインスリンの翻訳調節に必要な遺伝子領域を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究では、β細胞におけるインスリンのグルコースによる翻訳制御に重要であると考えられているインスリン遺伝子の非翻訳領域 (UTR) を改変し、インスリン生合成に与える影響を、マウスβ細胞株であるMIN6細胞を用いて評価することを計画した。マウスの2つのインスリン遺伝子 (Ins1とIns2) それぞれのグルコース応答性を調べる必要があるため、ゲノム編集を用いたIns1欠損MIN6細胞およびIns2欠損MIN6細胞の作製を行った。しかし、それぞれの遺伝子のヘテロ欠損細胞は得られたが、これらにゲノム編集を繰り返してホモ欠損細胞を得ることができなかったため、計画の変更が必要となった。 グルコースに応答したインスリンの翻訳は加齢に伴い減少するが、その機構は不明である。老化の特徴のひとつにオートファジーの低下が挙げられる。β細胞特異的オートファジー不全マウスの膵島では、グルコース応答性インスリン分泌は低下する。オートファジーの低下はカリウムイオン刺激によるインスリン分泌には影響しないため、オートファジーはグルコース応答性インスリン生合成や分泌の過程そのものに関与していると考えられる。そこで、オートファジーがグルコース応答性インスリン翻訳を制御するかどうかを明らかにし、制御するならば、その機構を解明することにした。まず、MIN6細胞を高グルコースで刺激したところ、オートファジーが増加した。そこで、MIN6細胞において、オートファジーに必須の遺伝子であるAtg7をノックダウンしてグルコース応答性インスリン分泌を解析しようとしたが、Atg7のノックダウン効率が低く、評価できなかった。現在、Atg7遺伝子をノックアウトしたMIN6細胞を作製している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
マウスMIN6細胞の2つのインスリン遺伝子それぞれについてグルコース応答性を評価する必要があるため、Ins1欠損MIN6細胞およびIns2欠損MIN6細胞を作製しようとしたが、できなかった。したがって、UTRを改変して解析するという当初の計画の変更が必要となったため、研究課題の進捗としては遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
Atg7遺伝子をノックアウトしたMIN6細胞の作製を完了する。MIN6細胞においてAtg7遺伝子をノックアウトすると、グルコース応答性インスリン分泌が低下することが予想されるので、作製したAtg7ノックアウトMIN6細胞のグルコース応答性インスリン分泌を測定し、野生型のMIN6細胞と比較する。Atg7ノックアウトMIN6細胞でグルコース応答性インスリン分泌が低下することを確認後、グルコース応答性インスリン生合成を測定し、野生型MIN6細胞と比較する。両者に差があれば、発現に差のある遺伝子のうち翻訳制御に関わる可能性のある遺伝子を抽出する。それらの候補遺伝子のノックアウトや過剰発現がグルコース応答性インスリン生合成に与える影響を解析することで、MIN6細胞のグルコース応答性インスリン翻訳調節機構を解明する。
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