研究課題/領域番号 |
21K06847
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分48040:医化学関連
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
木村 穣 東海大学, 医学部, 客員教授 (10146706)
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研究分担者 |
畑中 朋美 城西大学, 薬学部, 教授 (10198749)
赤塚 尚子 東海大学, 医学部, 特定研究員 (20826317)
坂部 貢 千葉大学, 予防医学センター, 特任教授 (70162302)
加藤 明 東海大学, 医学部, 准教授 (70546746)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 神経障害エステラーゼ / Transgenic Mice / Gene Knockout Mice / Brain Function / Purkinje cell / Behavior / Organophosphate / Sick House Syndrome / Autophaggy / Purkinje / 遺伝子操作マウス / リン脂質代謝 / 神経機能 / PNPLA6 |
研究開始時の研究の概要 |
ヒト神経障害エステラーゼ(NTE)の劣性変異疾患の責任遺伝子に対応する、遺伝子変異マウスおよびNTE高発現マウスを複数系統作製している。 これらの遺伝子操作マウスの分子生物学的、組織学的、生理学的、行動学的解析に基づいて、個体レベルにおけるNTEの機能を解明するとともに、脂質代謝やオートファジーとの関連性にも注目し、NTEに結合するとされる有機リンによる神経障害やヒトNTE疾患治療のヒントを探る。
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研究実績の概要 |
神経障害エステラーゼ(NTE:neuropathy target esterase)はlysophospholipaseの一種であり、そのアミノ酸配列は生物種を超えて良く保存されているが、多くのヒト運動機能性の疾患でその遺伝子PNPLA6に変異が見られる。またNTEは有機リンに共有結合し、その後の化学変化によって種々の神経症状を引き起こすが、シックハウス症候群患者では単核球NTE活性が高いことを見出している(Matsuzaka et al. 2013)。 以上の発症機構を探る手がかりとして、まずはNTEを全身で発現するトランスジェニックマウス系統およびマウスpnpla6遺伝子上でNTE活性中心近傍に変異を持つ系統を作製した。後者では6系統のうち、まず最初の系統でOpen Fieldでの単位時間での行動距離を測定したところ、野生型よりヘテロ型変異マウスは不動時間が長く、走行距離も短い結果となった。 今年度は凍結受精卵からトランスジェニックマウス1系統、変異マウス2系統を発生工学的に復元することに成功し、子孫を得ることができた。なおホモ変異マウス個体は胎生致死であることが確実となった。野生型およびヘテロ型変異マウスの行動解析としてOpen Field Testとローターロッドテストを比較したが、遺伝的背景が個体によって異なるせいか、今のところ有意な差はない。また行動に変化の見られるヘテロマウスにおいては小脳のPurkinje細胞の減少が観察されたことから、その確証を得ようとしたが、細胞数の同定には至らなかった。ヘテロ型変異マウス2系統についてはprimary cultureを得ることができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
マウス凍結精子からヒトNTE高発現系統を含めて3系統を復元でき、順調な産仔数と子孫を得ることができた。NTE発現系統の雄に関しては20匹の産仔中2匹しか導入遺伝子を保持しておらず、次世代での解析が中心となったがそのほかにも行動解析には十分な個体数が得られず、変異ヘテロ個体での行動解析における有意差が再現できていない。しかしながら細胞レベルでの解析に供するためのprimary cultureを得ることができた。当初の計画にはない進展であるため「やや遅れている」の判定とした。研究発表は関連2学会で行った。
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今後の研究の推進方策 |
凍結精子から得られた個体での行動解析における再現性は各個体での遺伝的背景のばらつきによるものかもしれず。現在バッククロスを進行中である。組織科学的解析や分子生物学的解析を進め、例数に余裕があればDDVPなどの有機リン投与に対する反応もみたい。また今年度得られたprimary cultureも有効に利用する計画である。
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