研究課題/領域番号 |
21K06856
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49010:病態医化学関連
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
宮崎 純一 大阪大学, 産業科学研究所, 特任教授 (10200156)
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研究分担者 |
田代 文 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (40136213)
宮崎 早月 大阪大学, 大学院医学系研究科, 助教 (60452439)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | インスリンプロセシング / 耐糖能異常 / 糖尿病 / 膵β細胞 / ノックアウトマウス / インスリン分泌 / 異常プロインスリン分子 / インスリン / ベータ細胞 / 分泌蛋白の品質管理 / 2型糖尿病 |
研究開始時の研究の概要 |
膵β細胞のインスリン分泌は生体の血糖値制御の根幹を成す重要な機構である。β細胞で産生される前駆体・プロインスリン(PI)の約20%は、misfoldingなどにより成熟インスリンに至らない。前糖尿病病態においては異常PIが蓄積し、β細胞機能不全を進行させる可能性が考えられ、PIプロセシングの異常と病態の解析は、2型糖尿病とも関連する課題である。我々は以前、インスリン分泌に関与する候補遺伝子Tx(仮名)を見出したが、Tx蛋白はゴルジ、分泌顆粒に局在し、PIのプロセシングに関与している可能性がある。本研究では、Tx-KOマウスとKOβ細胞株を用い、PIプロセシングにおけるTx分子の役割を解明する。
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研究実績の概要 |
膵β細胞株MIN6を用いてインスリン分泌制御に関与する候補遺伝子を探索し見出されたTmem59l遺伝子に関し、ノックアウト(KO)マウス及びKOβ細胞株を作製し、詳細な解析を行った。Tmem59lは主に中枢神経系で発現し、膵β細胞でも高い発現が見られた。MIN6細胞においてTMEM59Lはゴルジ体や分泌顆粒に局在しており、インスリンのプロセッシングや成熟、分泌顆粒の動態を制御している可能性が推定された。KOマウスは見た目や妊孕性に異常はないが、15週齢を越すと雄では体重増加がヘテロマウスより有意に低下した。KO雄マウスに経口糖負荷試験を行ったところ、15週齢では異常は見られなかったが、50週齢では耐糖能の有意な低下が認められた。老齢KO雄マウスの糖負荷後の血漿においてintact proinsulin/proinsulin比が高値を示し、インスリンのプロセシングやfoldingなどに異常が起こっている可能性が考えられた。その原因を解析するため、KOβ細胞株とrescueβ細胞株を樹立した。分泌されたproinsulinの非還元下と還元下におけるウエスタンブロットの結果、KO細胞のproinsulinの量がrescue細胞より多い傾向が見られた。電子顕微鏡観察では、インスリン分泌顆粒数とその電子密度がKO細胞ではMIN6親株に比し低い傾向が見られたが、インスリン含量に大きな違いは見られなかった。KO細胞とrescue細胞のグルコース応答性インスリン分泌(GSIS)では、rescue細胞でも改善しなかった。TMEM59Lの免疫染色の結果、rescue細胞はMIN6親株に比べゴルジ体などでの発現が高すぎるためにGSISの改善しなかった可能性が推定された。そこで、発現ベクターのプロモーターをCAGからpgkに置き換えて、新たにrescue 細胞を作製した。
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