研究課題/領域番号 |
21K06892
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
|
研究機関 | 岩手医科大学 |
研究代表者 |
安平 進士 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 講師 (90311729)
|
研究分担者 |
前沢 千早 岩手医科大学, 医歯薬総合研究所, 教授 (10326647)
天野 博雄 岩手医科大学, 医学部, 教授 (70302487)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | MAPK経路 / 悪性黒色腫 / 二重特異性フォスファターゼ / シグナル伝達 / MAPキナーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
MAPキナーゼ経路は細胞の増殖を制御する重要な情報伝達系であり、幾つかのがんはその異常亢進が原因であると考えられている。DUSP4はこの経路を抑制すると考えられてきた脱リン酸化酵素であるが、悪性黒色腫では、反対に経路の活性を維持する機能を持っている可能性を我々は見出した。本研究ではこの経路の詳細を明らかにするとともに、経路自身を抑制することが悪性黒色腫の新たな治療方法となり得るかについて基礎的な知見を与えるものである。
|
研究実績の概要 |
多くの悪性黒色腫細胞で見られるDUSP4の高発現の意義とDUSP4依存的な細胞増殖の機構を明らかにすることが本研究計画の目的である。計画初年度の研究により、悪性黒色腫細胞株においてDUSP4-DUSP6-ERKという直列のERKリン酸化制御経路の存在を示すことができた。本年度は、この機構の詳細な分子機構、特にDUSP4発現抑制時にDUSP6の発現が上昇する機構について明らかにすることを試みた。この現象ではDUSP6のmRNA量には変化が見られず、外来性のプロモーターをつないだDUSP6トランスジーン由来のタンパク質でも量の増加が観察されることから、翻訳あるいは翻訳後のレベルで制御が行われていると考えられる。また、細胞をプロテアソーム阻害剤で処理すると、DUSP6量が大きく上昇するので、DUSP6が比較的短い寿命を持ち恒常的なタンパク質分解を受けていることは確実である。翻訳後修飾に関するヒトプロテオームのデータベースを検索したところ、ヒトDUSP6には36番目、254番目、324番目の3つのリジン残基におけるユビキチン化が報告されていることがわかった。これらのポリユビキチン化がタンパク質分解速度を制御している可能性を検討するために、3つ全てのリジンコドンがアルギニンコドンに変化した変異遺伝子を作成して遺伝子導入を行い、DUSP4発現抑制時における変異DUSP6量の変化を野生型DUSP6と比較した。予想に反して、これらの変異はDUSP6量の変化に影響を与えなかった。したがって、ポリユビキチン化の制御がDUSP4発現抑制時のDUSP6量を規定しているのではないと考えられる。今後、初年度に明確な結論が出せなかったDUSP6の翻訳rateが制御を受けている可能性について再び検討する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
本年度の目標としていたDUSP6の制御の分子機構の解明について、作業仮説を否定するような結果しか得られなかった。このため、計画に挙げていたMITF制御におけるDUSPs-ERK経路の役割の研究についてもとりかかることができず、計画遂行はやや遅延している。
|
今後の研究の推進方策 |
DUSP6の翻訳rate制御の可能性について、より詳細に検討する。余裕があれば、MITF制御におけるDUSPs-ERKの役割についても調べる。また、当初の計画には含まれていないが、ゼブラフィッシュ個体を用いた実験によりDUSP4の悪性黒色腫発生への関与について示せないか検討する。
|