研究課題
基盤研究(C)
私達は、病理検体, RNA-Seq、Exome-Seq、メタボロームがそろったデータセット((GAPFREE)プロジェクトによって収集されたデータ)を用いることで、ミトコンドリアとがんとの関係を病理形態学的視点から、見直すことを考えている。すなわち免疫染色を用いて、ミトコンドリアの分布・量を定量化し、それとメタボロームを統合的に解析することで、ミトコンドリアの状態を俯瞰的に評価を行う。その後、それによって判明したミトコンドリアの状態と、遺伝子変異(Exome-Seq)、遺伝子発現(RNA-Seq)および病理組織学的因子(増殖・分化・形態)との関連を統合的に解析する。
癌細胞のミトコンドリアを病理組織において免疫組織化学で評価する場合、ミトコンドリアは正常細胞を含めて様々な組織で発現しているために、陽性/陰性などのカットオフ値を設定することが困難である。このため従来のように陽性/陰性といった評価方法ではなく、一細胞当たりの陽性数を定量化する必要がある。一般的に、免疫組織化学の評価には染色強度と染色された面積が使われることが多い(H-scoreやHER2 scoreなど)。一方、DISH/FISHや電顕では、陽性細胞数を定量することは可能であるが、数個~数十個といった少ない細胞数で判断しなくてはならず、全体像を定量化することが困難である。このため、ミトコンドリアを免疫組織化学で評価するためには、新たな評価方法(定量化方法)を構築することが必要である。今回我々は、免疫染色をHSVに変換し、核と免疫染色の色を分離し、Watershed法を用いて核の数をカウントし、COX4陽性細胞数を1細胞当たりの核の数で除したMitoScoreというものを算出するアルゴリズムを開発した。本測定法は、肺がん細胞株、正常組織を用いてValidationされた。免疫染色では腫瘍細胞密度は考慮されたないため、ミトコンドリアがどのくらい含まれているのかよくわからないが、Mito-scoreをヒートマップで表わすことによって、周辺のlepidic部分にミトコンドリアが多く含まれ、中心部の浸潤部でミトコンドリアが少ないことがわかった。Mitoscoreの分布をみると、高いものから低いものまで様々なものがある事がわかった。肺腺癌や肺扁平上皮癌においては、予後の差は認められなかったが、肺癌では、Mito-scoreは小細胞癌において、腺癌・扁平上皮癌と比較して優位に低いという傾向が認められた。
2: おおむね順調に進展している
上記の内容はJournal of Cancer Research and Clinical Oncology誌へ掲載された。
今後は、このMitoScoreを他臓器(食道、乳腺など)に展開してミトコンドリアの量が様々な腫瘍において、臨床病理学的因子とどの様な相関を持っているかを見ていく予定である。
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