研究課題/領域番号 |
21K06910
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 |
研究代表者 |
川崎 朋範 埼玉医科大学, 医学部, 教授 (90456484)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 2,340千円 (直接経費: 1,800千円、間接経費: 540千円)
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キーワード | 乳腺 / 神経内分泌腫瘍 / 神経内分泌癌 / 乳がん / 人体病理学 / 免疫組織化学 / 分子生物学 / 臨床細胞学 / 乳癌 / 特殊型 |
研究開始時の研究の概要 |
神経内分泌腫瘍(NEN)は全身のあらゆる器官から発生するが、領域ごとに疾患名や概念が異なるため、多大な混乱を生じている。それゆえ、世界的な罹患率の増加も相俟って、本腫瘍の体系的な新分類の確立が急務である。これまで、我々は乳腺神経内分泌腫瘍(B-NEN)に着目し、新しい疾患概念を提唱してきた。本研究では、 1.発生機序の解明 - 前駆病変と B-NEN のクローン的関連性の検証 2.B-NENs の増殖・浸潤・転移に関与する遺伝子背景の解明 3.分子標的治療、免疫療法、予後予測・治療効果予測に重要な遺伝子の探索 を実施し、NENs の臓器横断的な新分類の提唱、診断治療の確立に寄与することを目的とする。
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研究実績の概要 |
1)乳腺領域において、novel neuroendocrine marker である insulinoma-associated protein 1 (INSM1) の意義、有用性および展望を初めて示した [Virchows Archiv,2021 & 2023.Pathology,2021.Int J Surg Pathol,2022.ECP(Virchows Arch), 2021-2022.IAP(Histopathology),2022 等]。INSM1 によってのみ神経内分泌形質を証明しうる neuroendocrine neoplasm (NEN) ないし NE phenotype を示す腫瘍の検出の増加が見込まれ、これらの疾患エンティティに対する分子標的療法を含めた新規治療法の開発に従事していく。 2)乳腺 NENs は内分泌療法感受性や化学療法効果を伴って予後良好とみなされてきたが、非特殊型浸潤癌と比較し侵攻性の臨床経過を辿る潜在性を示してきた [Histopathology,2013-2015.Virchows Arch,2015.Pathol Int,2016,2019.ECP(Virchows Arch),2014-2021.USCAP(Mod Pathol/Lab Invest),2012 等]。その一環として浸潤性微小乳頭癌特徴を呈する NEN 症例を初めて報告した [Cancer Rep,2023 等]。 3)乳腺 NENs における疾患概念の変遷と新規診断治療への展望に関し、ディスカッションを行った(Virchows Arch,2023.長野県臨床細胞学会会誌,2023 等)。神経内分泌形質を有する乳腺疾患を、比較的広い tumor entity としてグループ化し、神経内分泌への分化に焦点を当て、将来的に新規診断・治療法を探索する方向性がよいと考えられた (Front Endocrinol,2023.第113回 日本病理学会総会 コンパニオンミーティング,2024 等)。 4)乳腺小葉癌の消化管転移症例を臨床・病理学的に分析した[Intern Med,2024.Clin Case Rep,2023 (x2).Oxf Med Case Reports,2023.第20回 日本乳癌学会 中部地方会 教育セミナー,2023 等]。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
乳腺領域において、novel/next-generation neuroendocrine marker である insulinoma-associated protein 1 (INSM1) の意義、有用性および展望を初めて示 し、2021-2023 年にかけて 5 編の論文が国際誌に掲載された (Virchows Archiv,2021.Pathology,2021.Int J Surg Pathol,2022.Virchows Arch,2023.Front Endocrinol,2023)。さらに、国際学会 [European Congress of Pathology (Virchows Arch), International Academy of Pathology (Histopathology)] をはじめ、複数の所属学会(日本病理学会総会,日本乳癌学会学術総会,日本臨床内分泌病理学会学術総会,日本臨床細胞学会総会,日本組織細胞化学会総会・学術集会,日本超音波医学会,国立病院総合医学会など)で研究成果を報告した。乳腺 NENs における疾患概念の変遷と新規診断治療への展望に関し、ディスカッションを行った(第113回 日本病理学会総会 コンパニオンミーティング,2024.長野県臨床細胞学会 第36回学術集会 特別講演,2023.長野県臨床細胞学会会誌,2023.埼玉県臨床細胞学会誌,2023 等)。
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今後の研究の推進方策 |
2021~2023 年度にかけて、新規の神経内分泌マーカーである INSM1 に関する分析を中心に行い、幸いにも複数の国際的な研究成果を上げることができた。今後の展望として、その発展研究に従事していくとともに、1. 乳腺領域において我々が初めて報告した "NE cell hyperplasia" [J Clin Pathol, 2012.USCAP (Mod Pathol/Lab Invest), 2012. ECP (Virchows Arch), 2013 & 2019 等] と NENs のクローン的関連性を mitochondrial DNA sequence,copy number variation (CNV)/loss of heterozygosity(LOH)解析から検討する、2. NENs の増殖・浸潤・転移に関与する遺伝子背景を分子病理学的に解明する、3. 分子標的治療や、予後予測・治療効果予測に重要な遺伝子を cDNA/miRNA マイクロアレイ解析から抽出する、4. 新しい神経内分泌腫瘍マーカーの診断的意義を検証する、5. NENs の新分類を提唱することを目的としてプロジェクトを遂行する。分子病理学的分析に関し、異なる複数の解析方法でアプローチすることにより研究目的が達成できるよう研究計画の立案に配慮を行った。もし、研究が当初の予定通りに進まない場合は、研究代表者の留学先であった Department of Medical Sciences, University of Turin, Italy の Prof. Bussolati,Prof. Sapino に研究方法や実験技術に関する助言、材料の提供を受ける方向性とする。本研究から得られたデータないし新知見に基づき、令和7年度以降に向け、さらなる発展研究の計画・立案を行う。
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