研究課題/領域番号 |
21K06917
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
外岡 暁子 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (60404589)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 子宮頸部腺癌 / HPV非依存性 / 胃型 / NGS / LEGH / 子宮頚部腺癌 / ヒトパピローマウイルス / 胃型粘液 / non-HPV / EMT |
研究開始時の研究の概要 |
HPV非関連型の子宮頚部腺癌の多くは浸潤性が極めて強く、予後が不良である。手術後に腫瘍が残存するなどの問題があり、術前に小さな生検材料で浸潤性を予測できることが理想であるが、病理診断におけるマーカーは不明である。 本研究では、HPV関連型、非関連型腺癌両者の遺伝子発現解析を行い、高度浸潤群を特徴づける分子の同定と臨床への応用を目的とする。遺伝子発現解析の結果が免疫染色に反映されるかどうかを検討し、免疫染色上で検出可能な分子が同定できれば、術前に浸潤パターンが予測可能となる。また臨床病理学的因子との関連を検討する。
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研究実績の概要 |
子宮頚部腺癌のうち、ヒトパピローマウイルス(HPV)非依存性の腺癌では浸潤性が強く化学療法の効果が出にくい胃型腺癌が良く知られている。この胃型腺癌の多くは形態的に淡明な胞体を持つ円柱状細胞からなる典型像を含み診断は比較的容易であるものの、一方でその細胞像の特徴をほとんど有さないが浸潤性の強いHPV非依存性腺癌に遭遇することがある。 本研究は、このような腺癌を集め、その形態的特徴や免疫組織学的特徴を整理し、遺伝子発現解析を行って浸潤性を特徴づける遺伝子発現の有無を検討すると同時に、これらの腺癌の遺伝子発現パターンからその組織分類について再考察することを目的として開始した。 令和3,4年度ではこれらの症例抽出を行い、組織型検討、免疫染色を行い、形態的には粘液産生の程度に差があるものの、同じ群として扱うことが許容できると判断した。遭遇頻度が低い組織型であることから、多数例を検討することによりその像の多彩性についてまとめることができたのは現場の病理医にとって重要な意味を持つと考える。 遺伝子発現についてNGSを用いて検索することを検討したが、腫瘍細胞含有量が低いことから実現に至らなかった。一方で、これらの腺癌の背景にLEGH(分葉状子宮頸管過形成)があることが多いことから、LEGHとこれら腺癌の関係性、および癌に特徴づけられる遺伝子変異を確認すべく数例で全エクソン解析を行った。残念ながらLEGHとこれら腺癌においてドライバ遺伝子の共有を指摘し得ず、また腺癌そのものに特徴づけられる遺伝子変異の抽出にも至らず、これまでの報告以上の結果を得ることができなかった。腫瘍含有率の低さによるハードルは高く、今後の検討課題と考える。視点を変えて、診断現場に有用となりうる組織像や免疫染色および治療標的について免疫染色を主体とした手法で検討しているところである。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
腫瘍含有率が低い腫瘍の特徴ゆえに解析の難易度が高く、方向性の変更を余儀なくされたことによる遅滞が生じた。
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今後の研究の推進方策 |
子宮頸部腺癌の特徴はHPVの有無により大きく異なり、病理医という立場からその診断をいかに正確に行うかというところに焦点を絞り、特にHPV非依存性腺癌の診断に有用な遺伝子発現、免疫染色とその判断について多数例で解析を行っていく予定である。
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