研究課題/領域番号 |
21K06924
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 大分大学 |
研究代表者 |
赤木 智徳 大分大学, 医学部, 助教 (80572007)
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研究分担者 |
塚本 善之 大分大学, 医学部, 助教 (00433053)
猪股 雅史 大分大学, 医学部, 教授 (60315330)
泥谷 直樹 大分大学, 医学部, 准教授 (80305036)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 大腸粘液癌 / オルガノイド / DUSP4 / シグナル伝達経路 / 分子標的治療 |
研究開始時の研究の概要 |
大腸腺癌の一亜型である粘液癌は、通常の大腸腺癌とは異なる臨床病理学的特徴を示す。私たちはこれまで、通常大腸腺癌の新規がん抑制遺伝子としてMAPキナーゼ脱リン酸化酵素であるDual-specificity phosphatase 4 (DUSP4)を同定した。しかし、粘液癌ではDUSP4が高発現しており、がん遺伝子として機能している可能性が示唆された。本研究は、粘液癌の組織培養系を樹立して、DUSP4高発現の機能的意義を明らかにするとともに、粘液癌の悪性形質(高度の増殖能や浸潤能、治療抵抗性等)に関わるシグナルパスウェイを同定して、新規の分子標的治療法の確立を目指すものである。
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研究実績の概要 |
私たちはこれまで、通常の大腸腺癌ではDUSP4の発現が表層部のがん細胞で亢進し、浸潤部のがん細胞では低下していることを見出した。また、DUSP4低発現細胞株にDUSP4を強制発現すると、MAPキナーゼパスウェイの不活化に伴って増殖および浸潤が有意に抑制されることを示し、DUSP4が大腸がん細胞の増殖・浸潤に関わるがん抑制遺伝子であると報告した。 一方、大腸腺癌の亜型である大腸粘液癌では、多くの症例で表層部から浸潤部に至るすべての粘液癌細胞でDUSP4の発現亢進が観察され、通常の大腸腺癌における機能とは異なることが示唆された。また、DUSP4を高発現する大腸細胞株も少数ながら存在しており、それらにおいてはDUSP4の発現レベルをRNAiで抑制すると、p53の蓄積と、p53下流のシグナルパスウェイが活性化され、細胞周期の停止とアポトーシスの誘導に伴って細胞増殖能が有意に低下することを見出している。 これらの知見は、大腸癌の一部、とくに大腸粘液癌においては、恒常的に発現するDUSP4ががん細胞の生存能と増殖能を亢進して、がん遺伝子として機能していることを示唆している。さらに、大腸癌に対する新規分子標的としてのDUSP4の有望性についても期待される。本研究では、大腸粘液癌の組織培養系を確立することにより、粘液癌で高発現しているDUSP4の機能的意義を明らかにする。さらに、粘液癌で活性化しているシグナルパスウェイを同定して、治療標的としての可能性を検証する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度は昨年度に樹立成功した4例の大腸粘液癌オルガノイドについて、培養細胞の形態的観察と免疫不全マウス移植モデル作成を施行した。4例中1例は、培養細胞および移植腫瘍の形態観察にて、粘液癌の特徴(粘液産生や粘液湖の形成)を呈しており、粘液癌オルガノイドの成功と結論付けた。しかし残り3例については、粘液癌ではなく通常型大腸腺癌と同様の組織像を示していた。おそらく手術組織からのサンプル採取の際に粘液癌の部分を外していたと考えられる。 現在、樹立できた1例についてDUSP4 mRNAおよびDUSP4タンパクの発現レベルの解析や、各種の機能解析(増殖能、浸潤能、生存能など)、免疫不全マウスへの移植・治療実験を施行しているところである。
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今後の研究の推進方策 |
今後、3例の粘液癌オルガノイドの樹立を達成する。数がそろったところで以下の実験を施行する。 [ DUSP4の機能解析 ] siRNAを用いたノックダウン法でDUSP4発現を抑制して、増殖能(MTS法)や浸潤能(Boyden chamber法)、生存能(アポトーシス解析)、細胞周期(FACS解析)への影響を調べる。 [ 重要なシグナルパスウェイの同定と治療応用 ] 粘液癌および正常上皮由来のオルガノイドからRNAを抽出して、網羅的発現解析を行う。粘液癌で発現変動する遺伝子群を抽出し、それらをパスウェイ解析データベース(Ingenuity Pathway Analysis, Ingenuity Systems)に連携して、粘液癌特異的に活性化しているシグナルパスウェイの概要を得る。さらに、オルガノイドのタンパク液を抽出して、リン酸化タンパクアレイを用いて活性化シグナルパスウェイを確認する。活性化シグナルパスウェイを構成する分子の中から、特異的阻害剤が存在し標的分子となりうる分子を選択する。免疫不全マウス移植モデルを作成して、移植したオルガノイドが生着後、阻害剤を投与(経口、腹腔)して、腫瘤の縮小効果や遠隔臓器(肝、肺、脳など)への転移抑制効果、生存期間の延長効果などを調べる。
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