研究課題/領域番号 |
21K06929
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
柴原 純二 杏林大学, 医学部, 教授 (60334380)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 膠腫 / 融合遺伝子 / FGFR3 / 多形性 / DNAメチル化 / 神経膠腫 / 膠芽腫 |
研究開始時の研究の概要 |
中枢神経に発生する高悪性度神経膠腫には形態的・分子遺伝学的に複数の亜型が見出されているものの、未だ詳細不明の腫瘍群が存在する。極めて予後が不良である高悪性度神経膠腫の個別化医療を実現する上で、これら未整理の腫瘍群の詳細を明らかにすることが必要となる。本研究では課題の残るFGFR3-TACC3陽性高悪性度神経膠腫と多形型膠芽腫の2型に焦点をあて、形態的・分子遺伝学的解析を通して、その位置づけを明らかにする。
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研究実績の概要 |
1. FGFR3::TACC3融合遺伝子陽性高悪性度神経膠腫(F3T3-HGG)についての検討 F3T3-HGGの位置付け、診断法を確立することを主目的とした研究である。融合遺伝子が tandem duplicationにより形成されることを考慮して、FGFR3・TACC3遺伝子コピー数増加の検出によるF3T3-HGGのスクリーニング法の確立を試みた。F3T3-HGGを含むglioblastomaのDNAメチル化アレイデータ(GSE200647)を用いて検討を行ったところ、感度69%、特異度92%、陽性的中率71%、陰性的中率91%の精度で、F3T3-HGGの診断が可能であった。自験例のF3T3-HGGを用いて、Digital PCR法やMLPA法でのコピー検出を試みたが、DNAメチル化アレイでのコピー数解析以上の精度の結果は得られなかった。遺伝子重複領域が短く、同領域のプローブ密度も低いことが低精度の一因と考えられ、プローブ密度が低い背景には同領域付近はGC含量が高く、プローブの設計自体が困難であることが考えられた。F3T3-HGGを含む膠腫の公共DNAメチル化データ と自験例のF3T3-HGGのDNAメチル化データを併せたt-SNE解析では、少なくとも一部のF3T3-HGGがclusterをなす独特の一群であることが確認された。
2. 多形型膠芽腫についての検討 巨細胞、上皮様細胞、肉腫用紡錘形細胞成分を種々の程度に含む膠芽腫を、多形型膠腫と包括的に定義し、臨床病理学的・分子遺伝学的観点から、その位置付けを明らかにする研究である。形態学的基準にて抽出された18症例のうち13例についてDNAメチル化解析を実施した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
F3T3-HGGのスクリーニング法が確立できていないものの、DNAメチル化解析を通し、F3T3-HGGの一部が独特の一群であることを確認するに至っている。 多形型膠芽腫についても検討が進んでいる。
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今後の研究の推進方策 |
FGFR3::TACC3HGGについて、網羅的遺伝子発現解析を行い、本腫瘍群の位置付けをより明確にするとともに、特徴的形態の背景にある分子機序の解明を行う。また、Duolink PLA法を用いた融合蛋白の検出よるスクリーニング法の確立を試みる。 多形型膠芽腫については、既に得られたDNAメチル化データを用い、tSNE法や遺伝子コピー数解析を実施するとともに、免疫組織化学や遺伝子変異解析等の結果と併せ、本腫瘍の位置づけを明確にする。
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