研究課題/領域番号 |
21K06930
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 杏林大学 |
研究代表者 |
長濱 清隆 杏林大学, 医学部, 准教授 (00336538)
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研究分担者 |
福冨 俊之 杏林大学, 医学部, 助教 (30439187)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
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キーワード | apoE関連腎症 / apoE / 糸球体腎炎 / 糸球体沈着症 / apoE蛋白 / 代謝障害 |
研究開始時の研究の概要 |
脂質異常症は進行性腎障害のリスクを上昇させることが知られている。しかしながら、脂質異常症から腎障害に至る病態生理は不明点が多い。2018年、われわれはリポ蛋白構成成分の1つであるapoE蛋白の変異を原因とする新規糸球体病変を同定し、apoEの沈着が糸球体障害を起こしうることを示した。興味深いことに、われわれの症例は膜性腎症に類似した組織像を呈しており、これまで知られているapoE関連糸球体病変とは明らかに異なった組織像であった。本研究計画では、多数例の腎生検検体を用いて、apoE沈着による糸球体病変を明らかにするとともに、腎予後についての解析を行う。
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研究実績の概要 |
本研究計画では、過去の腎生検検体を用いて免疫染色等によりapoEの沈着の有無について検討し、後方視的に新たなapoE関連腎症を同定し、その予後をすることを目的としている。令和4年度は、前年度に引き続き、APOE遺伝子型の同定のため、Sanger sequenceにより塩基配列を決定するための条件検討を行った。種々の条件検討の結果、パラフィン切片から抽出したDNAを用いて、apoEのExon領域すべてについて塩基配列を決定することに成功した。さらに、倫理申請を行った上で、apoEと同様にリポ蛋白の一種で、巣状糸球体硬化症との関連が指摘されているapoL1についても、変異ホットスポット領域に関しても、Sanger sequenceを用いた塩基配列の決定を試みた。結果的に、apoE同様、腎生検検体のパラフィン切片から抽出したDNAを用いて塩基配列を決定することができた。 そこでこれらの方法を用いて、前年度に行った免疫染色の結果からapoE腎症が疑われた2症例について、apoEおよびapoL1遺伝子の塩基配列を確認した。しかしながら、2症例いずれにおいてもapoE全exon領域およびapoL1変異ホットスポット領域に遺伝子配列の異常は見いだせなかった。 また、apoEに対する免疫染色は前年度同様、膜性腎症と診断された症例に対して継続して施行した。当初の予定である過去10年分の膜性腎症症例については全て検討を行った。また、膜性腎症以外でも、蛍光免疫染色にて沈着物が認められない増殖性腎炎に関して、同様の検討を行った。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
上記概要に記載した通り、パラフィン切片から抽出したDNAを用いて、apoEのexon領域全長の塩基配列を Sanger sequence にて決定することに成功した。ただし、apoE腎症と最終的に断定できる症例を見出せていない。
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今後の研究の推進方策 |
これまでは質の高い核酸を抽出するため、10年前までの腎生検検体に限定していたが、今後はパラフィンブロック作成から10年以上経過する症例について、apoEに対する免疫染色およびSanger sequenceを施行する予定である。また、膜性腎症以外の疾患で、光顕上、免疫複合体の沈着が示唆される疾患で、蛍光免疫染色上、沈着が見られない症例についての検索を進めるとともに、関連病院において、apoE腎症が疑われるような同様の症例がないかどうか、検索を追加する。
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