研究課題/領域番号 |
21K06934
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 川崎医科大学 |
研究代表者 |
森谷 卓也 川崎医科大学, 医学部, 教授 (00230160)
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研究分担者 |
紅林 淳一 川崎医療福祉大学, 医療技術学部, 教授 (10248255)
西村 広健 川崎医科大学, 医学部, 講師 (70368661)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,770千円 (直接経費: 2,900千円、間接経費: 870千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 乳癌 / 病理 / 免疫組織化学 / 非浸潤癌 / コラーゲン / 低酸素 / 非浸潤性乳管癌 / 癌微小環境 / 病理組織 / トリプルネガティブ / P4HA / HIF / 早期癌 |
研究開始時の研究の概要 |
エストロゲンとプロゲステロンのホルモンに対する感受性と、HER2(ハーツー)タンパクを持たない乳がんをトリプルネガティブ乳がんと呼ぶ。ホルモン感受性の乳がんなどと比べても、治療に難渋し、予後不良の一群と目されている。この型のがんを取り巻いている乳腺組織が、がんに対してどのように作用しているのかを明らかにし、将来の治療などに役立てる目的で、手術などで採取された病理組織に対し、新たな染色を行って解析を行う。次に、それらの結果をもとに、より早期のがんであるトリプルネガティブ型非浸潤がんの周囲環境についても調査し、がん発生のメカニズムを解明するとともに、がんの予防・早期発見のための基礎データを作る。
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研究実績の概要 |
細胞外マトリックス内にコラーゲンが異常沈着することにより、癌細胞の浸潤・転移が促される可能性が示唆される。コラーゲン代謝の翻訳後修飾を担うprolyl-4-hydroxase(P4H)は、浸潤性乳管癌の悪性度や予後に関連する因子であることが知られているが、早期乳癌における発現については不明な点が多い。今回、非浸潤性乳管癌(以下DCIS)に対し、P4Hおよび低酸素ストレス関連マーカー対する免疫染色を行い検討を行った。核異型中等度以上のDCIS 101例(35~59歳、平均58歳)を対象とし、P4Halphaサブユニット1と2、およびHIF-1alphaに対する免疫染色を行った。癌細胞における各マーカーの発現はH-score(0-300)で判定した。P4HA1、4HA2、HIF1-alphaの平均H-scoreは、125.6、27.1、69.7であった。核異型高度例は中等度例に比して有意にP4HA1、P4HA2ともに有意に高スコアを示した。P4HA2は、HER2陽性例が陰性例より、ER陰性例が陽性例よりそれぞれ有意に高スコアであった。内因性サブタイプ別には、P4HA1およびP4HA2ともにHER2型がluminal A型より有意に高スコアを示した。P4HA2は、トリプルネガティブ型もluminal A型より有意に高スコアであった。さらに、Spearmanの順位相関係数ではP4HA1、P4HA2、HIF1-alphaは互いにやや弱い正の相関を示した。年齢による特徴は得られなかった。以上の検討結果から、以前に検討を行った浸潤性乳癌と同様に、P4HAは悪性度の高いDCISで高発現しており、低酸素環境マーカーとの関連も示唆された。本検討の意義をさらに明確にするためには、コラーゲンを含む腫瘍間質の環境変化、および初期浸潤癌における病態に関する検討を加えることが望ましいと思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
症例の収集、標本の作成、臨床病理学的検討が一通り終了しており、先行して検討した浸潤性乳癌との対比も行い、学会発表の段階となっている。さらに追加項目について、同一の症例を用いて複数の染色を追加中であり、研究期間内に最終成果を出すことが十分に可能であると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
同一症例を用いて、腫瘍微小環境に関する検討を開始している。その内容はすでに浸潤性乳癌で検討を行っており、別途学会発表後に論文作成中である。それぞれの結果を比較し、癌の発育進展に関して考察を加えることが可能と考えている。以上の一連の結果をもって、本研究のまとめを行う予定である。
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