研究課題/領域番号 |
21K06937
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49020:人体病理学関連
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研究機関 | 公益財団法人がん研究会 |
研究代表者 |
松原 修 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 客員研究員 (40107248)
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研究分担者 |
二宮 浩範 公益財団法人がん研究会, がん研究所 病理部, 研究員 (20462228)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 2,470千円 (直接経費: 1,900千円、間接経費: 570千円)
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キーワード | 肺線維症 / 肺腺癌 / 上皮内腺癌 / 細気管支化生 / 異型腺腫様過形成 / microRNA / 微少浸潤性腺癌 / 肺胞の細気管支化 / miRNA |
研究開始時の研究の概要 |
肺線維症を基盤に発生する肺腺癌と肺線維症を合併しない手術肺組織を比較して、特定のmiRNA、特異的なSNP、タンパクの違いがあるのかどうかを検討する。miRNAについては、凍結材料として保有する肺線維症合併と合併しない症例の初期腺癌、AIS、AAHの病変について、miRNA Oligo chipを用いて行う。その次にSNP解析、順調に進めば発現タンパクのプロテオーム解析まで行いたい。初期腺癌、AIS病変では特定のmiRNAが捕まる可能性が高いと考えている。 また、肺腺癌進展過程における肺癌幹細胞の分布、動態の解析、また免疫チェック機構の関与と免疫逃避機構がどういう状態であるのかを明らかにしたい。
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研究実績の概要 |
細気管支化生peribronchiolar metaplasia(PBM)は、肺損傷への反応で、細気管支上皮がランバート管を通って周辺の肺胞に伸展する現象である。原発性肺癌90例と転移性肺癌17例の手術材料を検討した。原発性肺癌の26例(29%)にPBMが、腺癌で21例(29%)、扁平上皮癌で2例(13%)、大細胞神経内分泌癌で4例(57%)認められた。PBMは原発性肺癌(29%)と転移性肺癌(6%)の出現で関連性に有意な差が見られ、肺腺癌に関連していることを示した。異型腺腫様過形成(AAH)、肺線維症、腫瘍および喫煙者細気管支炎は、それぞれ15例(17%)、12例(13%)、10例 (11%)、および8例(9%)の症例で認められた。PBMの出現との有意な関連性はなかった。 microRNAの解析についての研究では肺癌の手術材料10例(浸潤性肺腺癌、minimally invasive adenocarcinoma (MIA)、adenocarcinoma in situ (AIS)、AAH、PBMについて、腫瘍の部分と非腫瘍 の部分から凍結材料を採取し比較検討した。解析に用いたキット・試薬類は、 miRNeasy Mini Kit、RNase-Free DNase Set、NanoDropTM One、Agilent 2100 Bioanalyzer、Agilent RNA 6000 Nano Kitである。抽出した Total RNA濃度は478.6~4109.9μg/mLであった。腫瘍部と非腫瘍部の比較で2Up=Ratioと 2Down=RatioのProbeを多数認めた。これらmicroRNAには、miR-99a-5p、mir-1268b、miR-6075、miR-455-5pなどで有意の差が見られた。これらmicroRNAについて のより詳細な解析を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
細気管支化生peribronchiolar metaplasia(PBM)と初期肺腺癌発生の関連について、摘出手術材料の検討から深い関連が示唆される結果を得たが、直接の関連性についての検討は難しい。手術材料からの凍結材料を用いて、microRNAを解析することに依って手がかりを得ようと考えて研究を進めている。抽出した RNA、特にmicroRNAでの腫瘍部と非腫瘍部の比較を行い、2Up=Ratioと2Down=RatioのProbeが多数認められたのだが、これらmicroRNA、microRNA、pre-microRNAの由来となる関連のmRNA、隣接した microRNAの詳細な解析は簡単ではなく、時間と苦労が伴っている。また、浸潤性肺腺癌、上皮内腺癌(Adenocarcinoma in situ: AIS)、微少浸潤性腺癌(Minimally invasive adenocarcinoma: MIA)、異型腺腫様過形 成(Atypical adenomatous hyperplasia: AAH)での相違も検討したいのだが困難を極めている。
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今後の研究の推進方策 |
手術材料からの凍結材料を用いて、抽出した RNA、特にmicroRNAでの腫瘍部と非腫瘍部の比較を更に行い、microRNA、microRNA、pre-microRNAの由来となる関連の mRNA、隣接したmicroRNAの詳細な解析を行いたいと考えている。また、今まで、解析した、2Up=Ratioと2Down=RatioのmicroRNAについて、浸潤性肺腺癌、上皮内腺癌(AIS)、微少浸 潤性腺癌(MIA)、異型腺腫様過形成(AAH)、Peribronchiolar metaplasia(PBM)のグループでの種類と程度の相違についてもより詳細に検討したいと考えている。
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