研究課題
基盤研究(C)
変形性関節症の治療薬・治療法の確立に向けた、軟骨細胞の増殖を制御する新たなCTRP分子の分子機序の解明が本研究計画の第一の目的である。第二の目的は、CTRP分子-受容体を標的とした軟骨細胞制御による変形性関節症治療効果の検証である。本研究成果は安価で効果的な薬剤開発に繋がることから、国民の健康寿命の延伸、健康で安心した社会生活維持の確保となる社会的波及効果が期待できる。
変形性関節症は関節軟骨の損傷が特徴的な退行性の骨代謝疾患であり、根治療法が確立していない。軟骨細胞は異化・同化作用により軟骨組織の恒常性を維持する役割を果たすため、軟骨組織の再生を目的とした技術開発に重要な研究標的である。アディポカインとして知られるCTRPファミリー分子はその多くが関節炎の病態局所にて発現する。しかし、その生理機能の理解は十分でない。これまでにCTRP分子とその受容体が軟骨細胞増殖において重要な役割を果たすことをin vitro研究によって明らかにしており、in vivo変形性関節症モデルマウスを用いた治療効果の検証を目指している。そこで、本研究では新たな遺伝子改変マウスの開発および再現性の高いin vivo変形性関節症モデルマウスの導入を進めてきた。その結果、複数系統の遺伝子改変マウスの開発に成功した。in vivo変形性関節症モデルマウスとしては、強制歩行トレッドミルによる関節への負荷による変形性関節症の誘導モデルを導入した。このモデルは外科的手術による軟骨損傷とは異なり、発症まで時間を要するものの、ヒトの病態により類似したものであり軟骨移植による軟骨組織の再生も評価が容易であると考えられる。今後は誘導系・評価系を確立し、in vitro研究で得られた軟骨組織再生因子の治療効果の検証を随時実施していく。また、疾患モデルマウスを用いた研究活動が高く評価され、第69回日本実験動物学会奨励賞を受賞した。
3: やや遅れている
組織学的解析により軟骨組織の損傷を評価してきたが、標本作製に当初予定より大幅に時間がかかってしまった。そこで痛みを評価するvon frey試験の導入を進めている。当該試験では関節損傷による痛みを評価するため、経時的な評価が可能であることが利点である。
in vitro研究に加え、in vivoモデルを用いた変形性関節症の治療法開発を継続していく。今年度導入した疾患モデルはその目的達成を大きくサポートするものであり、当初予定の遅れを十分に取り戻すことが可能であると考えている。
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すべて 雑誌論文 (10件) (うち国際共著 5件、 査読あり 10件、 オープンアクセス 10件) 学会発表 (11件) (うち国際学会 2件、 招待講演 2件) 図書 (13件) 備考 (8件)
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