研究課題/領域番号 |
21K06963
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 秋田大学 |
研究代表者 |
山本 洋平 秋田大学, 医学系研究科, 非常勤講師 (70400512)
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研究分担者 |
大森 泰文 秋田大学, 医学系研究科, 教授 (90323138)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 520千円 (直接経費: 400千円、間接経費: 120千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | 線維形成性小細胞腫瘍 / 腫瘍産生分泌小胞 / がん微小環境 / DSRCT / 肝転移 |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、臓器特異的転移を規定する因子を制御し、転移性desmoplastic small round cell tumor(DSRCT)患者の予後を改善する研究につなげるための基礎研究に位置づけられる。DSRCTの肝転移成立・維持機構を解明するために、DSRCT患者由来の株細胞から好肝転移株細胞を樹立した後、同細胞の産生する分泌小胞を解析する。本研究の特徴としては、腫瘍細胞の分泌する小胞と肝臓細胞の会合による刺激に着目した点がユニークである。分泌小胞によるシグナル伝達により、腫瘍細胞は肝転移成立前にがん微小環境を整えることができる。またシグナル伝達物質は分泌小胞で保護されているので、原発巣から転移巣までの移動中に分解されるリスクも低減される。
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研究成果の概要 |
線維形成性小細胞腫瘍は、若年男性の腹腔内に発生する治療抵抗性の稀な肉腫で、massiveな肝転移が予後不良因子の一つと言われている。この肉腫の肝転移成立・維持については不明な点が多い。我々は、がん微小環境の制御因子である腫瘍産生分泌小胞に着目し、線維形成性小細胞腫瘍の肝転移成立・維持を促進する機構を明らかにすることを目標としている。そのために行うin vivo / in vitro実験には、腫瘍由来の株細胞が不可欠である。我々は、国内の研究機関と交渉して研究試料の提供に関する覚書を結んだ上で、株細胞を入手した。現在、腫瘍産生分泌小胞を超遠心法で単離するために、株細胞を大量に培養中である。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
申請者が経験し報告した2例の線維形成性小細胞腫瘍剖検症例においても、肝転移巣が初診時から発見され、剖検時には肝実質を半分以上置換するほど著しく認められた。この肝転移により、症例1では高度の肝不全が、症例2では門脈圧亢進症に続発した胃静脈瘤破裂による出血性ショックが起こった。以上の事実から、線維形成性小細胞腫瘍の腫瘍組織には、肝転移の成立・維持を促進する固有の機構が存在する可能性が示唆される。転移成立・維持を促進する因子を特定できれば、これらを制御することにより、肝内における腫瘍細胞のviabilityを低下させ、肝転移を有する大多数のDSRCT患者の治療戦略を改善できる。
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