研究課題/領域番号 |
21K06974
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
竹馬 真理子 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 准教授 (40531736)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | アクアポリン / がん微小環境 / 腫瘍関連マクロファージ / アクアポリン3 / 多発性骨髄腫 / ガン悪性化 / 酸化ストレス |
研究開始時の研究の概要 |
がん微小環境で発生するROS(H2O2を含む活性酸素)が酸化ストレスと慢性炎症を調節し、がん悪性化に関与することが示されている。申請者は、マクロファージに発現するアクアポリン3(AQP3)が、細胞内外のROS/H2O2輸送を介して、細胞自身の分化調節と、周囲細胞・組織の酸化ストレスや炎症惹起に関与することを見出した。本研究では、マクロファージのAQP3に着目し、がん微小環境形成・維持における酸化ストレス・炎症制御の分子メカニズムを解析する。また、AQP3の機能的阻害抗体を用い、がん微小環境におけるROS輸送をターゲットとした新しいがん治療法を検討する。
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研究成果の概要 |
アクアポリン-3(AQP3)は癌の進行に関与していることが報告されてきた。我々は、AQP3阻害抗体を用い、ガンに対するAQP3阻害の有効性を調べた。同種ガン移植モデルでは、AQP3抗体の投与は、腫瘍関連マクロファージを減少させ、活性型のCD8陽性T細胞を増加し、腫瘍の成長を抑制した。免疫不全マウスに多発性骨髄腫(MM)を移植したモデルマウスにおいても、AQP3抗体は腫瘍の増大を抑制した。AQP3阻害がMM細胞のミトコンドリア活性を制御することで細胞増殖を抑制することを示した。これらの結果は、AQP3抑制が、がん悪性化の有効な治療戦略となりうる可能性を示した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
網羅的遺伝子発現解析に基づいた分子標的薬の開発にも関わらず、依然としてがんは日本人の死亡原因の第一位である。本課題では、ガン進行過程でのAQP3の役割を検討し、AQP3阻害の有効性について調べた。特に、多発性骨髄腫(MM)ではAQP3発現が高く、AQP3阻害がMM細胞自身のミトコンドリアの呼吸能を低下させることで細胞増殖を抑制する効果を明らかにした。この発見は、AQP3阻害が新たな治療標的としての潜在性を持つことを示しており、治療選択肢の拡大に寄与する可能性がある。研究成果は、学術的には新しい生物学的メカニズムの解明を、社会的には難治性のがんに対する新たな治療法の開発への道を開くと考えられる。
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