研究課題/領域番号 |
21K06978
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 近畿大学 |
研究代表者 |
伊藤 彰彦 近畿大学, 医学部, 教授 (80273647)
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研究分担者 |
古徳 直之 立命館大学, 薬学部, 准教授 (20362618)
浜田 芳男 甲南大学, フロンティアサイエンス研究科, 特別研究員 (70424968)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 抗体薬物複合体 / 経鼻的頭蓋内送達 / 薬物送達系 / 内在化 / 認知症 / アルツハイマー病 / 接着分子 |
研究開始時の研究の概要 |
脳血管関門を越えられない薬物については嗅粘膜を介した経鼻的頭蓋内送達が試みられている。薬物は嗅神経線維-篩骨間の間隙を拡散して、又は嗅神経に取り込まれた後軸索輸送にて頭蓋内に達する。嗅粘膜ではIgCAM型接着分子Xが高発現している。申請者は抗分子X抗体によって分子Xは細胞膜上から細胞内に取り込まれ(内在化)、同時に抗体も内在化することを見出した。本研究課題ではこの作用によって抗分子X抗体が創薬シーズとなるかを検証する。具体的には、当該抗体にβセクレターゼ阻害薬を搭載(抗体薬物複合体)した後、アルツハイマー病モデルマウスに点鼻し、アミロイドβの蓄積減少など頭蓋内での薬効発出を検証する。
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研究成果の概要 |
脳血管関門を経ない投薬経路として嗅粘膜を介した経鼻的頭蓋内送達が知られる。薬物は嗅神経線維-篩骨間の間隙を拡散して、又は嗅神経に取り込まれた後軸索輸送にて頭蓋内に達すると想定される。嗅粘膜ではIgCAM型接着分子CADM1の高発現が知られている。申請者は最近所有する抗CADM1細胞外領域認識抗体がCADM1とともに高効率に内在化することを見出した。本抗CADM1抗体にチューブリン重合阻害剤MMAEを結合させた。CT-2Aマウス膠腫移植による脳腫瘍モデルを作製し、本抗体薬物複合体を連日点鼻投与したところ、腫瘍の増殖は有意に抑制された。当抗体は頭蓋内薬物送達の新たなベクターとして有用と考えられた。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
今回作製した抗体薬物複合体は悪性リンパ腫治療薬として使われているBrentuximab vedotin(アドセトリス)と基本的な構造は同じであり、その点鼻によって脳腫瘍の増殖が抑制されたことは脳腫瘍に対する新たな治療薬として有望であることを示している。 また、経鼻的頭蓋内送達が投薬経路として機能することも示された。本抗体をベクターとする種々の創薬が今後推進されるものと期待される。 例えば、本抗体にβセクレターゼ阻害薬を搭載すれば、アルツハイマー病に対する点鼻薬として広く普及する可能性が考えられる。
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