研究課題/領域番号 |
21K06981
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49030:実験病理学関連
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研究機関 | 公益財団法人東京都医学総合研究所 |
研究代表者 |
小原 道法 公益財団法人東京都医学総合研究所, 疾患制御研究分野, 特任研究員 (10250218)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | β-catenin/CBP選択的阻害剤 / NASH / HCV-Tg / 肝硬変 / CBP/β-cateninシグナル / 肝細胞機能 |
研究開始時の研究の概要 |
Wnt/β-catenin/CBPシグナル伝達経路阻害剤PRI-724によってもたらされる脱肝線維化、肝細胞機能の正常化の機序を解明するため、投与に伴い変化するCBP及びCBPと拮抗的に機能しているP300下流因子の発現変化と修飾、これにより惹起される分子間相互作用及び免疫細胞の分化制御、肝実質細胞の質的変化について解析を行う。これらの解析によりCBP関連分子の免疫細胞及び肝細胞における分子間制御機構を解明し、さらに治療法の確立にまで発展させる事をめざす。
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研究実績の概要 |
[目的] β-catenin/CBP選択的阻害剤PRI-724はHCVおよびHBVに起因する肝硬変患者を対象とした医師主導治験が進んでおり、新たな肝硬変治療薬として期待されている。非アルコール性脂肪肝炎 (NASH) は肝硬変、肝細胞がんへと進行する病態であり、患者数は日本のみならず世界で増加しているが、有効な薬物治療法は存在しておらず早急な対策が望まれている。肝線維化はNASHの予後を決定する因子であるが、肝線維症/肝硬変に対する治療薬は存在していない。本研究では、Wnt/β-カテニン/CBPシグナル阻害剤であるPRI-724の肝硬変治療効果についてその作用機序の解明を目指した。 [方法] C57BL/6Jマウスにコリン欠乏・メチオニン減量高脂肪飼料 (CDAHFD) を14週間給餌することで、肝線維化を伴ったNASHマウスを作製した。NASHモデルマウスにPRI-724を6週間投与後、肝病態への影響を検討した。肝線維化はsirius red染色および鍍銀染色で、肝機能はプロトロンビン時間で評価した。肝臓内の各種遺伝子の発現は定量RT-PCRを用いて測定した。さらに肝臓内リンパ球を分離後、FACSおよびシングルセルRNA-seqを用いて解析を行った。 [結果および考察] PRI-724が示す抗肝線維症活性については、肝線維の減少効果と肝細胞の正常化効果の両面から解析した。さらに肝線維化の分解に寄与するMmp9を産生するマクロファージに着目して解析を進めたところ、非炎症性のマクロファージである卵黄嚢由来のクッパー細胞 (KC) で強い発現が認められた。さらにPRI-724投与によって、Marco陽性のMmp9+Cd68+ KCが増加し、またMarco+Cd68+ KCでのMmp9発現量はMarco-Cd68+ KCと比べて約4倍高いことが明らかとなった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
PRI-724を投与した時に肝臓中に増加するマクロファージ・単球および好中球の一部が線維分解酵素産生を担うと考えられ、誘導機序の解析を行った。この成果は既に論文として(Yamaji, K. et al. Biom.Pharm. 2023)発表したためにこのように判断した。
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今後の研究の推進方策 |
NASHマウスで同定したCd68+Macro+クッパー細胞におけるMMP9の発現亢進をタンパク質レベルで確認するとともに、Cd68+Marco+ MMP9+クッパー細胞が肝線維化軽減に直接寄与しているか否かを検証するために、抗MARCO中和抗体や肝臓標的siRNAなどを用いてCd68+Marco+ MMP9+クッパー細胞の機能抑制や排除による影響を解析する。更に、非アルコール性脂肪肝炎(NASH)とHCV感染由来肝硬変での治療効果と作用因子の差異についても検証する。
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