研究課題/領域番号 |
21K06991
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
|
研究機関 | 愛媛大学 |
研究代表者 |
橘 真由美 愛媛大学, プロテオサイエンスセンター, 助教 (00301325)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | マラリア / 有性生殖 / 雄性生殖体 / 近位依存性ビオチン標識 / BioID / マラリア原虫 |
研究開始時の研究の概要 |
マラリア原虫は、媒介蚊の中腸内で有性生殖を行う。申請者はこれまでに雄性生殖体の表面に発現するPyMiGSを同定し、有性生殖期に機能を持つことを明らかにした。PyMiGSは、雄性生殖体表面に局在することから、雌性生殖体表面の分子と直接相互作用することが考えられる。本研究では、改良型BioID(近位依存性ビオチン標識) 法を用いて、受精時にPyMiGSと相互作用する雌性生殖体の分子について探索する。更に分離された分子の性状解析を行い、受精に関与する雌性側の分子の同定を行う。
|
研究実績の概要 |
マラリア原虫は、媒介蚊の消化管内で有性生殖を行う。有性生殖期に発現する分子はこれまでに複数報告されている一方で、その相互作用についてはほとんどわかっていない。本研究では、マラリア原虫の受精に関わる分子機構を明らかにすることを目標とし、有性生殖期において雄特異的に発現するPyMiGSを足がかりにして、改良型近位依存性ビオチン標識AirIDを用いて相互作用する分子の探索を行う。 本年度は、解析を行うためにPyMiGSのAirID融合原虫を2種作出することに成功した。 作製したPyMiGSのC末にAirIDを融合した原虫を抗原とし、一緒に融合したAgiaタグに対する抗体、及び、MiGS抗体を用いた免疫染色により、MiGSは野生型原虫と同様に雄性生殖母体の細胞小器官であるオスミオフィリックボディに局在していることが示された。しかしながら、このC末にAirIDを融合した原虫では、雄性生殖体の放出能が、野生型原虫と比べて低下することが明らかとなった。このことから、この組換え原虫は、雄性生殖体におけるMiGSと相互作用する分子を探索する目的には適さないため、生殖母体のオスミオフィリックボディで相互作用する分子の探索に焦点を絞ることとした。 もう1種のMiGS::AirID原虫は、クローン化に成功したところであり、局在の確認等これから行う予定である。 また、陰性コントロールとするために、雌特異的に発現する既知の分子のAirID融合原虫の作出に成功した(1種)。同時に、陰性コントロール(既知の分子のAirID原虫)のバックアップ用に、他の候補分子を探索するため、データベースの発現プロファイルから雌性生殖母体で発現していると予測される7分子のmyc原虫の作製を試みた結果、3種の組換え原虫の作出に成功した。これらの局在解析を順次行い、コントロールの候補抗原となり得るかを確認する予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
昨年度の予定が大幅に遅れたため、当初の予定よりは遅れているものの、昨年度改めて計画した研究は予定通り進展している。組換え原虫の表現型が野生型原虫と異なる部分があり、当初の計画(生殖体におけるMiGSと相互作用する分子の探索)とは方針(標的ステージ:生殖母体へ)を少し変える必要があるが、幅広く有性生殖期の分子を探索することも重要であると考えているため、特に問題はないと判断している。また、異なる位置にAirIDを融合した組換え原虫のクローン化にも成功しているため、この原虫のMiGSの局在、また表原型が野生型原虫と同等であることが確認できれば、雄の生殖体における分子の探索を進める予定である。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでに、作製したPyMiGSにAirIDを導入した原虫では、野生型原虫と同様に、雄性生殖母体の細胞小器官であるオスミオフィリックボディにMiGSが発現していることを確認済みであるため、先ずはオスミオフィリックボディにおけるMiGSと相互作用している分子の探索に焦点を置く。 組換え原虫の生殖母体においてビオチン化を行うために、ビオチン添加方法についての条件検討を行う。ビオチン化されたタンパク質をストレプトアビジンビーズで回収し、質量分析法により相互作用する分子を解析する。 この解析により検出された10分子程度について、myc原虫を作製し、MiGSと同様に雄性生殖母体のオスミオフィリックボディに局在する分子を探索する。オスミオフィリックボディに限らず、生殖母体において発現している新しい分子が見つかった場合は、遺伝子欠損原虫を作製し、表現型解析を行い、分子の機能を明らかにする。
|