研究課題/領域番号 |
21K06996
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49040:寄生虫学関連
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
坪川 大悟 北里大学, 医学部, 助教 (30714901)
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研究分担者 |
市川 尊文 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (30245378)
佐藤 雅 北里大学, 医学部, 講師 (40611843)
川上 文貴 北里大学, 医療衛生学部, 講師 (50511896)
川島 麗 北里大学, 医療衛生学部, 准教授 (70392389)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2024年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 蠕虫 / RAGE / 宿主応答 / 腸管免疫 / 幼虫体内移行 / S100様分子 / 模倣分子 |
研究開始時の研究の概要 |
寄生蠕虫は宿主タンパク質に対する模倣分子を分泌し、宿主免疫応答を制御することが知られている。パターン認識受容体(PRRs)は、病原体の侵入を速やかに認識し自然免疫系の活性化と獲得免疫系への橋渡しを行う。申請者は寄生蠕虫が分泌するS100様カルシウム結合タンパク質(S100様分子)がPRRsに作用し、マクロファージの浸潤を抑制することを明らかにした。本研究では、S100様分子のPRRsを介したマクロファージへの機能や2型免疫応答に対する働きを解析する。PRRsシグナルの寄生蠕虫による制御機構の解明は、自己免疫疾患やアレルギーに対する新規治療薬開発に有益な知見となると考えられる。
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研究実績の概要 |
終末糖化産物受容体(RAGE)は終末糖化産物の受容体として同定されたパターン認識受容体で、哺乳動物の内皮細胞、免疫細胞に発現し、S100蛋白などを認識することで、サイトカインの発現亢進を誘導し炎症反応を引き起こす。これまでに、寄生蠕虫からS100同様に二つのカルシウム結合ドメインを有するS100様分子「Venestatin」を同定した。さらに、寄生蠕虫の宿主への侵入後、ES物質中のVenestatinはRAGEに作用し、マクロファージを中心とした炎症細胞浸潤を抑制することを明らかにした。消化管寄生線虫は宿主腸管粘膜において、タフト細胞からのIL-25産生、自然リンパ球からのIL-13産生、杯細胞の過形成により排除されるが、RAGEの関与は不明である。2022年度は、消化管寄生線虫Nippostrongylus brasiliensis感染系を用い、腸管免疫応答におけるRAGEの機能を検討した。 C57BL/6J野生型(Wt)とRAGE欠損(RAGE-/-)マウスそれぞれに、N. brasiliensis感染型幼虫1,000隻の皮下感染を行った。虫体が成熟する感染7日目の小腸粘膜では、Wtと比べRAGE-/-マウスで寄生虫体数が有意に少なかった。qPCR解析では、Wtと比べRAGE-/-マウス小腸でIL-13やIL-25の顕著な発現上昇が認められた。小腸粘膜の組織学的検討では、Wtと比べRAGE-/-マウスで杯細胞やタフト細胞数が有意に増加した。シクロオキシゲナーゼやPGD2合成酵素をqPCR解析すると、Wtで感染後の有意な発現上昇が認められたが、RAGE-/-マウスでは認められなかった。以上より、N. brasiliensisはRAGEを介したPGD2産生による杯細胞過形成の抑制機構を利用し、腸管粘膜寄生を有利にすることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究は、寄生蠕虫の体内移行に関与する分泌蛋白であるS100様分子の、宿主炎症反応の発端となるシグナルを伝達するパターン認識受容体(PRRs)を介する宿主免疫制御機構を明らかにすることを目的としている。本研究の目的達成のためには、in vitro とin vivo 両実験系からのアプローチが必要となる。2021年度は「Venestatin」のRAGEシグナルの制御による炎症病態抑制効果を明らかにした。2022年度 N. brasiliensisのRAGEを介したPGD2産生による杯細胞過形成の抑制機構を明らかにした。 従って、「おおむね順調に進展している」との評価をした。
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今後の研究の推進方策 |
①In vivo評価系を用いたS100様分子の機能解明 目標:S100様分子によるPRRsを介するシグナル伝達、下流域エフェクターの動態を明らかにする。 S100様分子共存下におけるPRRsシグナル経路とエフェクター産生の挙動への影響を量的、質的に解析する。Lipopolysaccharide(LPS: TLR4 リカンド標品)やグリセルアルデヒド(Gla)-BSA(RAGEリカンド標品)を用いて、直接・間接的に発現誘導される遺伝子群、サイトカイン、NF-kBやIRFの核内移行へのS100様分子の作用を明らかにする。 ② vivo評価系を用いたS100様分子の機能解明 目標:PRRsリカンド投与による炎症応答や蠕虫感染による2型免疫応答に与える影響など宿主内におけるS100様分子の役割を明らかにする。
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