研究課題/領域番号 |
21K07007
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 名古屋市立大学 |
研究代表者 |
長谷川 忠男 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 教授 (10314014)
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研究分担者 |
立野 一郎 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 講師 (50311642)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | A群レンサ球菌 / 発現調節因子 / 酸化ストレス / 遺伝子導入 / 毒素蛋白質 / 発現制御 / 蛋白質分解酵素 / DNA分解酵素 / 転写調節因子 / 病原性 |
研究開始時の研究の概要 |
A群レンサ球菌は劇症型感染症(STSS)を引き起こす。この細菌が産生する種々の毒素蛋白質の質的、量的変化がSTSS発症メカニズムに重要な役割を果たしている。量的変化には毒素蛋白質の発現制御機構が関与するが未解明な点が多い。ゲノム解析により推定される数多くの機能未同定な転写調節因子が存在しており、我々はその中の一つが毒素蛋白質の産生に大きく関与する事実を新たに見出した。本研究では、この新たな転写調節因子の詳細な解析とともに、機能未同定転写調節因子のノックアウト株を網羅的に樹立し解析する。この戦略により、A群レンサ球菌の病原性、STSS発症メカニズムにおける新規の転写調節因子の関与を探求する。
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研究実績の概要 |
A群レンサ球菌は、1990年前後より再興感染症としての劇症型感染症の起因菌(人喰いバクテリア)となることが報告され、現在その増加が社会問題となりつつある。病原性には、細菌のヒトに対する侵襲性とヒトからの排除に対する抵抗性が考えられる。それらの発揮には病原毒素蛋白質の質的、量的変化が重要な役割を果たしているが、発現制御については未知の部分が多い。今回の研究ではゲノム情報から数多く推定される機能未知の転写調節を司ると考えられる因子の機能を明らかにすることにより、未知の発現制御の解明に取り組んでいる。 1.転写調節遺伝子ノックアウト株の樹立ー劇症型感染症患者由来株である10-85のゲノム情報から機能未知の転写調節を司ると考えられる因子の網羅的なノックアウト株の樹立を試み、これまでに約60種類のノックアウト株を樹立した。 2.各種ストレスに対する解析ーノックアウト株にpHストレス、温度ストレス、酸化ストレス(過酸化酸素使用)などの各種ストレスを与え、増殖に及ぼす影響を検討した。その結果6種が酸化ストレス応答に関与していることが判明した。 3.制御遺伝子の解析ー上記6種のノックアウト株のうち、特に顕著に酸化ストレスの関与が示唆された株に関して、相補実験を行い、2種に関しては相補実験が成功した。1種に関しては相補に成功したものの、挿入ベクターに変異が入っていることが考えられ、精査中である。またどのような遺伝子発現に関与しているかを検討するため、相補株にFLAG-tagを結合したベクターを構築した。このベクターが機能するか否かを検討中であり、確認がとれれば、CHIP解析を行う段階に来ている。更に酸化ストレスに関与する株、このほか増殖、特にCO2要求性に関与しているノックアウト株に関しては発現mRNAの網羅的解析を行う準備を行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
糖代謝に関連するなど機能が推定されている発現制御因子を除いて多くの機能未同定発現制御因子ノックアウト株を樹立できた。一部の発現制御因子に関してはそれらが関与する機能の一端が明らかとなってきている。
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今後の研究の推進方策 |
酸化ストレスに関与することが示唆される発現制御遺伝子ノックアウト株に関しては、CHIP法を用いて制御遺伝子の探索を行う準備が進行中である。かつ発現mRNAの網羅的解析を行う準備も同時に行っている。 増殖、特に二酸化炭素要求性が示唆される遺伝子ノックアウト株に関しても同様の実験を行う予定としている。
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