研究課題/領域番号 |
21K07016
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 第一薬科大学 |
研究代表者 |
小川 和加野 第一薬科大学, 薬学部, 教授 (90397878)
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研究分担者 |
廣村 信 第一薬科大学, 薬学部, 准教授 (30411036)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 抗菌薬多剤耐性 / コリスチン耐性 / 肺炎桿菌 / 2成分転写制御系 |
研究開始時の研究の概要 |
細菌の二成分転写制御系CrrBの変異が引き起こす多剤耐性化とペプチド系抗菌薬コリスチン(CL)耐性化のメカニズムの解明を目指す。細菌の多剤耐性化は、医療現場における脅威となっている。申請者は、CrrBの変異が肺炎桿菌の多剤排出ポンプKexDの発現を上昇させ、多剤耐性化を引き起こしていることを示した。一方、CrrBの別の変異は、CLに対する耐性化の原因になると報告されている。CrrBの異なるアミノ酸変異が異なる耐性機構を誘導するメカニズムは不明である。そこで、CrrBの変異とKexD発現上昇による多剤耐性化、CL耐性化の関連機構を明らかにし、各表現型を誘導する分子機序を突き止める。
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研究実績の概要 |
RND型多剤排出ポンプKexDは、ゲノム上のCrrB遺伝子の点変異により発現上昇することをこれまでに明らかにした。CrrBは二成分転写制御系のセンサーカイネースに分類される転写制御因子である。CrrB遺伝子の同一オペロン上には、レスポンスレギュレーター遺伝子crrAが存在しており、CrrAとCrrBはとともに機能すると推定されている。そこで、KexD発現上昇変異株、及び関連するいくつかの遺伝子改変株においてkexD、crrAのmRNA発現を調べた。 その結果、CrrAをプラスミドで相補すると、ゲノム上からのkexDとcrrBの発現が上昇した。また、変異型CrrBをプラスミドで相補した株では、ゲノム上からのkexDとcrrAの発現が増加したが、野生型crrBを相補しても、これらの遺伝子の発現上昇は起きなかった。従って、CrrAの発現レベルがKexDの発現増加に重要である可能性があることを明らかにした。一方、CrrABはコリスチン耐性化に関与する転写制御因子であると報告されているが、研究代表者が保有するCrrB変異株ではコリスチン耐性化は生じていなかった。CrrAあるいは変異型CrrB相補によりKexD発現が上昇した株においても、コリスチン耐性の上昇は観察されなかった。 そこで、コリスチン耐性株を分離した。コリスチン耐性株は1段階では分離されず、コリスチン濃度を徐々に上昇させることにより分離した。2023年度末にこれらの変異株についてトランスクリプトーム実験を実施した。本年度はこの結果解析を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
2023年度は学内のカリキュラム編成変更のあおりを受け、研究時費やす時間が減らされた。また、元々、コロナ禍の影響で遅れ気味であったため、その遅れを取り戻すには至っていない。
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今後の研究の推進方策 |
コリスチン耐性変異株において実施したトランスクリプトーム実験の結果解析を行う。また、これまでに多剤排出ポンプKexDの発現を変化させる因子として、ヒスチジン合成酵素、c-di-GMPホスホジエステラーゼ、RNAヘリカーゼ、葉酸デヒドロゲナーゼを見出している。このうち、ヒスチジン合成酵素、葉酸デヒドロゲナーゼにTnが挿入された株では、コリスチン耐性に関係する遺伝子crrABオペロンの発現が検出不可能レベルにまで低下した。これらの遺伝子欠損株にCrrAを相補することで、KexDの発現が上昇するかどうかなどを検証する。
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