研究課題/領域番号 |
21K07026
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
後藤 恭宏 九州大学, 医学研究院, 助教 (20558358)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Helicobacter cinaedi / VI型分泌系 / T6SS / 常在性 / pathobiont |
研究開始時の研究の概要 |
Helicobacter cinaediは腸肝ヘリコバクターの1つであり、本菌による菌血症や蜂窩織炎等の感染症は新興感染症の1つとして注目されている。本症の発症はヒト腸管に存在する菌によると推測されるが、具体的な発症機序は不明である。ゲノム比較解析から、宿主-細菌間相互作用あるいは細菌-細菌間競争に関与するT6SSが本菌のヒト腸管での常在性に関与している可能性が考えられた。そこで本研究ではT6SSに焦点をあて、エフェクターとその免疫タンパク質の同定、T6SSに関連した競合菌種の同定、ヒト細胞との相互作用へのT6SSの関与を解析することにより、本菌におけるT6SSの役割の解明を目指す。
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研究実績の概要 |
Helicobacter cinaediと近縁菌株を含めたゲノム解析から、本菌にはVI型分泌系(T6SS)が特異的に存在することが明らかになった。T6SSはエフェクター分子を標的の細菌や真核細胞中に送り込むための細胞小器官であることから、本菌の病原性だけでなくヒト腸管での常在性にも関与する可能性が考えられた。そこで本菌におけるT6SSの生理生態学的な役割の解明するため、T6SS構成遺伝子の破壊株を作成した。遺伝子破壊株は、標的遺伝子の内部に薬剤耐性マーカーを挿入した配列をエレクトロポレーションにより導入し作成した。T6SSが菌の排除に利用されているか検討するために、野生型と破壊型を、それぞれ他の系統の株と共培養し一定時間後の菌数を計測した。本菌は寒天培地上でのコロニーカウントによる計測が難しいため、菌株特異的なプライマーを用いたdigital droplet PCRの実験系を構築し、各株の菌数を識別して計測した。DNAは、共培養下での各菌の割合を反映するよう、ビーズにより物理的な菌体破砕をおこない偏りなく精製した。さらに、H. cinaediの近縁菌種の実態を解明するなかで、タヌキから分離された近縁菌種が、T6SS構成遺伝子群をコードするプラスミドの保有が明らかになった。この構成遺伝子群はH. cinaediと類似していたが、構成遺伝子群に挟まれた領域は全く相同性が見られなかった。これらの領域にはT6SSエフェクター関連遺伝子群がコードされると推測され、エフェクターレパートリがT6SSを保有する菌の棲息環境に適応している可能性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究は概ね順調に進展しており、次年度においても研究計画に沿って遂行する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
本研究は当初の予定通り進展しており、今後も研究計画に沿って遂行する。次年度においては、作成した遺伝子破壊株をもちいて競合菌種についてより詳細に解析する。
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