研究課題/領域番号 |
21K07035
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49050:細菌学関連
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研究機関 | 国立感染症研究所 |
研究代表者 |
前山 順一 国立感染症研究所, 次世代生物学的製剤研究センター, 主任研究官 (40199641)
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研究分担者 |
井坂 雅徳 名古屋市立大学, 医薬学総合研究院(医学), 助教 (40336673)
佐々木 永太 国立感染症研究所, 治療薬・ワクチン開発研究センター, 主任研究官 (40762216)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2022年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | アジュバント / ワクチン / CpG-ODN / 粘膜免疫 / インターフェロンアルファ / 結核 / 遅延型過敏反応 / BCG / 結核ワクチン / CpG / 経鼻投与 |
研究開始時の研究の概要 |
乳幼児期に接種したBCGに対する免疫は成人期に減弱する。研究代表者らは、BCG免疫を再賦活するワクチン開発に取り組み、弱いBCG免疫を付与したモルモットやサルに天然型CpG DNA「G9.1」と結核菌タンパク質MDP1の組み合わせ(特許第590619号)を皮内投与すると、結核菌感染に対する抵抗性が増強することを明らかにした。本研究ではその実用化を見据え、経鼻投与効果をマウスにおいて検証し、肺での効果が高い成人結核予防ワクチンの科学的開発基盤を確立する。このため、G9.1のマウス用サロゲートを開発し、MDP1との経鼻投与により誘導される免疫反応と結核菌感染抵抗性を調べる。
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研究実績の概要 |
ヒト型のCpG配列を含むオリゴDNA(CpG-ODN)、G9.1のマウスサロゲートmG9.1等10種のCpG-ODNについて、これまでインターフェロンα(IFNα)産生で検討し、2種類の配列がG9.1より大量のIFNαを産生することが分かった。それらについて、結核の防御免疫に関連していると言われているIFNγ産生について骨髄細胞を用いて検討したところ、大量の産生が認められた。また、サイトカインの産生を指標にいくつかのタンパク質や一部のアミノ酸がCpG-ODNの作用の安定性、持続性に効果があることが分かった。さらに抗原としてMycobacterium DNA binding protein 1の組換えタンパク質を用いて同時経鼻投与を行い、血清中の特異的抗体をELISA法で再度検討した。その結果、細胞性免疫との関連を示すといわれるサブクラスIgG2cについても増強効果が認められた。そこで細胞性免疫増強の検証として、遅延型過敏反応(DTH)ヘの影響を検討することとした。モルモットはDTHの観察が容易であるため、まず今回用いることとし低用量のBCGを皮内接種後に2週間間隔3回それぞれのCpG-ODNを単独で皮内投与したところ、明確なDTHの増強は認められなかった。体内への吸収は注射によるものが確実と考えて立案したが、粘膜アジュバントであるコレラ毒素Bサブユニットを同様にブースターとして単独経鼻投与したとき、精製ツベルクリンに対するDTHを増強することが観察されたので、アジュバント物質単独投与の可否およびその投与経路の検討が必要であると考えられた。 見出された2種のCpG-ODNについて、骨髄および肺組織における標的細胞の解析が必要であり、また実際にワクチン候補とするためには結核菌に対する防御効果の検証が必要となるので、その準備を進めている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ヒト型CpG-ODNであるG9.1のマウスサロゲートmG9.1新規配列のマウス骨髄細胞からのIFNα産生から見て選別し、in vivo反応であるマウスを用いた抗体産生については進んだ一方、多くの実験の結果が予想と異なり、条件検討に時間を取られたうえ、作用機作解析のための新規に準備された機器の習熟、結核菌感染防御実験のBSL3動物実験申請、およびヒト末梢血単核細胞への作用の解析が遅れているため。
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今後の研究の推進方策 |
mG9.1新規配列は、マウスでの感染防御実験に用いることに有用であると考えられるが、ヒト細胞での活性も高ければ、ヒトへ応用出来る可能性が高い。ヒト型としての検討を図ることも必要であると考えられるため、その手始めとして、サイトカイン産生や標的細胞の解析等でヒト末梢血単核細胞への作用の解析を進め明らかにする。一方、抗体産生・細胞性免疫増強作用、および感染防御能など計画しているin vivo反応解析のための動物実験を早急に進める必要がある。
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