研究課題/領域番号 |
21K07045
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 金沢医科大学 |
研究代表者 |
大桑 孝子 金沢医科大学, 医学部, 助教 (20460347)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | Saffold virus / 感染受容体 / CRISPR/Cas9 / sgRNAライブラリー / サフォードウイルス |
研究開始時の研究の概要 |
これまでに、CRISPR/Cas9 システムを用いて サフォードウイルス (SAFV) 高感受性細胞の遺伝子を網羅的にノックアウトし、SAFV 非感受性となった細胞から感染受容体遺伝子の候補を抽出した。その候補遺伝子の解析の結果、SAFV の吸着・侵入の過程には候補遺伝子以外の宿主因子が関与していることが示唆された。本研究では、再びCRISPR/Cas9 システムを用いて、これまでに感染に関与することを明らかにした宿主因子以外の受容体遺伝子を同定する。最終的に、受容体の SAFV 遺伝子型特異性、組織分布を明らかにし、さらに、SAFV 病原性発現の分子機構を明らかにする。
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研究実績の概要 |
本研究は、Saffold virus (SAFV) の感染受容体を同定し、最終的に SAFV の病原性発現の分子機構を明らかにすることを目的とする。 SAFV 感受性細胞である HeLa 細胞を用いた CRISPR library スクリーニングから、細胞表面のへパラン硫酸 (HS) が SAFV の感染に重要であることを見出した。しかし、細胞表面に HS が存在しない細胞において、SAFV 感染の明らかな遅延が見られるものの、感染・増殖を完全には阻害することはできなかった。このことから、HS は attachement receptor のひとつであり、他にも受容体となる分子が存在すると考えられた。そこで、本研究では HS 以外の SAFV 受容体を同定するために、細胞表面に HS が存在しない (HS(-)) HeLa 細胞株を作出し、この細胞株を用いた CRISPR library スクリーニングを行った。 令和4年度は、まず、CRISPR KO library を導入した細胞に SAFV を感染後、生き残った SAFV 耐性化細胞に導入された sgRNA 配列を次世代シーケンシングにより決定した。その結果得られた候補遺伝子群から、細胞膜上での発現に着目し、それらの遺伝子について、HeLa および HS(-) HeLa 細胞における KO 細胞と、SAFV 非感受性細胞である BHK-21 細胞における過剰発現細胞を作出し、ウイルスの感染と増殖を評価した。さらに、受容体候補分子と SAFV の結合を pulldown assay および attachement assay によって評価した。これらの結果から、HS 以外の SAFV 受容体を同定することができた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまでに、SAFV の吸着に細胞表面のへパラン硫酸 (HS) が重要であることを見いだしていたが、本研究において、細胞表面に HS が存在しない細胞を用いることで、HS 以外の受容体を同定することができた。
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今後の研究の推進方策 |
受容体候補分子と SAFV の結合を pulldown assay および attachement assay によって評価した。この時、pulldown assay では、SAFV との直接の結合が示された。しかし attachement assay において、細胞表面での KO 細胞における SAFV 結合の減少および過剰発現細胞における結合の増加が検出できなかった。この結果は、この分子が、細胞表面での吸着以降の過程に関与している可能性を示唆する。現在、吸着以降の過程における役割を解析中である。
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