研究課題/領域番号 |
21K07054
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 島根大学 |
研究代表者 |
吉山 裕規 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 教授 (10253147)
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研究分担者 |
小野村 大地 島根大学, 学術研究院医学・看護学系, 特任助教 (00910697)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | Epstein-Barr virus / 上皮性腫瘍 / 細胞分化 / メチル化 / ヒットエンドラン仮説 / EBウイルス / EBウイルス関連上皮性腫瘍 / 腫瘍溶解療法 / p53 / DNA損傷応答 / ウイルス発がん / Epstein-Barrウイルス / 上皮細胞腫瘍 / 溶解感染 / 扁平上皮細胞 |
研究開始時の研究の概要 |
EBVは、上皮性腫瘍やBリンパ腫を形成する。しかし、初代上皮細胞は、ビトロでのEBV感染により腫瘍化しないため、上皮細胞の腫瘍形成機構には不明な点が多い。 それに対し、重層扁平上皮細胞株にEBVを感染させたところ、持続感染が成立し腫瘍性形質が増加する細胞と、溶解感染に陥り死滅する高分化細胞に別れた。また、初代鼻咽頭粘膜細胞にEBVを感染させ3次元培養すると、細胞の分化に伴い溶解感染が起き、細胞の移動性が高まった。これらから、上皮細胞の分化はEBVの溶解感染誘導と、腫瘍化を促す可能性があるため、分化状態で発現する細胞遺伝子のなかから、EBVの溶解感染と細胞の腫瘍化を導く遺伝子を明らかにする。
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研究成果の概要 |
EBV関連上皮性腫瘍の腫瘍化機構と治療薬の研究を行った。胃上皮細胞へのピロリ菌の接着は、EBV低親和性受容体を発現誘導し、EBV関連胃がんの発生に関与すると考えた。次に、IL6/JAK/STAT3およびTNF-α/NF-κBシグナル伝達経路をEBV関連上皮癌に共通する特徴として示した。また、SLC26A9とTMC8をEBV関連上皮癌の予後を予測できる特徴的な遺伝子として示した。さらに、EBVの感染はWarburg効果および癌幹細胞性を誘導し、EBV陽性口腔扁平上皮癌の進行に働いた 。最後に、脱メチル化剤のMC180295はDNA修復と細胞周期を抑制し、EBV関連胃がん細胞の増殖を阻害した。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
EBVの感染はWarburg効果および癌幹細胞性を誘導し、EBV関連上皮性腫瘍の進行に重要であると考えられた 。分化状態で発現する細胞遺伝子がEBV関連上皮癌の予後を予測できる特徴的な遺伝子として考えられた。EBV感染の痕跡がある胃癌症例では、Timp2およびEya1遺伝子のメチル化が、EBVの痕跡がない症例よりも、高いレベルで認められた。脱メチル化剤のMC180295はDNA修復と細胞周期を抑制し、EBVaGC細胞の増殖を阻害した。 これらの結果から、EBVのウイルス遺伝子発現を調節する上皮細胞内環境を詳細にすることで、EBV関連上皮性腫瘍に特異的な治療法が開発できると考えられる。
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