研究課題/領域番号 |
21K07061
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49060:ウイルス学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
野村 拓志 熊本大学, ヒトレトロウイルス学共同研究センター, 講師 (80711001)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | SIV / HIV / CTL / 複製制御 / 免疫ドミナンシー / 複製非制御個体 / エピトープ領域 / 変異選択 / ウイルス特異的CTL / MHC-I |
研究開始時の研究の概要 |
HIV感染症の克服のためには、ウイルス特異的CTL反応と体内ウイルス排除の機構のより詳細な解析が必要である。申請者はこれまでにSIV感染ビルマ産アカゲザルエイズモデルを用い、長期複製制御維持に必要なCTL反応の性質を部分的に解明した。しかしながらSIV感染後に複製制御に至るか否かを規定する因子は不明であり、さらなる解析が必要である。本研究ではMHC-Iハプロタイプ90-120-Ia共有SIV複製非制御個体に着目し、エピトープに対する細胞性免疫応答と逃避変異選択の高精細な解析を行い、ウイルス特異的CD8陽性T細胞ドミナンシーとSIV複製制御の関係を考察する。
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研究実績の概要 |
HIV感染症の克服のためには、ウイルス特異的CTL反応と体内ウイルス排除の機構のより詳細な解析が必要である。申請者はこれまでにMHC-Iハプロタイプ90-120-Ia共有ビルマ産アカゲザルのうち、SIV複製制御個体における長期複製制御維持に必要なCTL反応の性質を部分的に解明した。しかしながらSIV感染後に複製制御に至るか否かを規定する因子は不明であり、さらなる解析が必要である。7か所のMHC-Iハプロタイプ90-120-Iaに拘束されるCTLエピトープを同定しており、本研究ではMHC-Iハプロタイプ90-120-Ia共有SIV複製非制御個体に着目し、エピトープに対する細胞性免疫応答と逃避変異選択の高精細な解析を行い、ウイルス特異的CD8陽性T細胞ドミナンシーとSIV複製制御の関係を考察した。2021年度までにMHC-Iハプロタイプ90-120-Ia共有SIV Progressorの血漿中SIVゲノムの解析によりをRT-PCR法を用いて増幅し、エピトープ領域の塩基配列から経時的にかつ短間隔にアミノ酸配列を解析し、これらのエピトープに変異選択が生じた感染後の週数を決定している。さらなる解析により、感染後早期のウイルス量と感染後1年の時点での7か所のエピトープ領域における変異選択の個数が相関することが明らかとなった。感染後早期に許容したウイルスの複製レベルがのちの変異選択の蓄積として反映されることを示す知見である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究ではMHC-Iハプロタイプ90-120-Ia共有SIV Progressorに着目し、細胞性免疫応答と逃避変異選択の詳細な解析を行い、細胞免疫応答のドミナンシーと複製制御の機序を明らかとすることが目的であり、順調な進捗が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度にはControllerとProgressorのCTL応答誘導と逃避変異選択のドミナンシーの比較を行うことで、protective MHC-I遺伝子であるMHC-Iハプロタイプ90-120-Iaを共有するサルがSIV感染後に複製制御に至るか否かを規定するウイルス側・宿主免疫側の因子を明らかとする予定である。Progressorにおけるその経過がControllerと比較して短期間に圧縮されている可能性がある。この場合、Progressorでは早期にCTL逃避変異の蓄積が進行し、血中ウイルス量の制御に至らない説明となる。いっぽうで、ControllerとProgressorの各エピトープ特異的CTL応答の誘導・CTL逃避変異選択の順序が全く異なったり、ProgressorのなかでもCTL応答の誘導・CTL逃避変異選択のパターンが一定せず個体によりまちまちなパターンを示す可能性もある。
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