研究課題/領域番号 |
21K07079
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
植畑 拓也 京都大学, 医学研究科, 助教 (50785970)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2021年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | mRNA分解 / ユビキチン / 炎症制御 / 転写後制御 / 炎症 |
研究開始時の研究の概要 |
mRNA分解酵素であるRegnase-1(Reg1)は炎症制御にとって必須の分子であるが、その機能制御に関する分子メカニズムは十分に理解されていない。本研究の目的はReg1を介したmRNA分解の新たな制御機構の解明である。申請者はReg1結合蛋白質を質量分析を用いて網羅的に解析した結果、新奇なReg1ユビキチン化機構を見出すことに成功した。本研究では、Reg1蛋白質のユビキチン化を介したmRNA分解機構を明らかにすることにより、炎症制御における新たな分子基盤の構築を目指す。本研究の成果により、慢性炎症を背景とする炎症性疾患に対して、Reg1を標的とした新規治療法の創出への貢献が期待される。
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研究実績の概要 |
mRNA分解酵素であるRegnase-1 (Reg1)は免疫細胞における炎症制御にとって必須である.本研究ではReg1と相互作用するタンパク質を質量分析により網羅的に同定し,その中でReg1のユビキチンに関与すると考えられるKlhl21を同定した.Klhl21は足場タンパク質であるCUL3と結合し,ユビキチン(Ub)化を受ける基質に対してアダプタータンパク質として機能すると考えられている.始めに,細胞株を用いた実験系を用いてKlhl21はReg1と結合しReg1のUb化を促進することを確認した.このとき,Reg1の発現は低下することはなく,むしろ増加していたことから,Klhl21を介したUb化はタンパク質分解ではなく,むしろ安定化への関与が示唆された.in vivoでのKlhl21の機能解析を可能にするため,Klhl21ノックアウトマウスを作製した.このマウスは胎生致死のため,胎仔肝細胞移植による解析を行ったところ,移植後2ヶ月のマウスにおいて概ね血球系に異常は認めなかった.しかしながら,T細胞を単離しReg1の発現をwestern blotにより検討したところ,Reg1のタンパク質が減少していることがわかった.さらに詳細なマウス解析を行うため,この遺伝子の2番エクソンを標的としたコンディショナルノックアウトマウスをCRISPRにより作製した.Reg1の低発現マウス(ヘテロマウス)は慢性炎症モデルにおいて病態が悪化することが報告されているが,このような観点からKlhl21欠損マウスはReg1の低発現モデルとして有用であることが示唆される.今後引き続き,Reg1ユビキチン化の意義も含め解析を進めていく予定である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
令和3年度の研究成果は、Klhl21欠損胎仔肝細胞を用いた造血系再構築によるアプローチによって行ってきた.この方法によりKlhl21欠損細胞を移植したマウスではT細胞数の減少や,T細胞におけるReg1タンパク質発現量の低下が明らかになった.しかしながら, Klhl21のcell intrinsicな機能を評価するためには,コンディショナルノックアウトマウスによる解析が必要であると考えられた.このため,当該年度期間中に,Klhl21 floxマウスの作製及び,細胞特異的creマウスとの交配を進めてきた.今後はKlhl21 floxマウスの解析を中心に解析を行う予定である. Klhl21に依存したReg1 Ub化機構に関しては,主に強制発現系を用いて解析を行なってきた.これにより,Klhl21はReg1のUb化を促進することでReg1タンパク質が増加することが示された.このUb化はCul3のノックダウンによって減弱し,またCul3と結合できない変異型Klhl21でも同様であった.現時点では,どのような局面でKlhl21がReg1 Ub化を促進するのかは不明であり今後の課題として検討が必要である.これに関しては,Reg1やKlhl21を特異的に認識する抗体が必要であると考えられる.特にKlhl21タンパク質を検出する抗体の入手が困難であり,これに関してin house抗体を含めて検討する余地がある.一方で,Reg1のC末端側に3xFlagタグを挿入したノックインマウスと前述のKlhl21 floxマウスとの交配が進んでおり,今後Klhl21依存的なReg1 Ub化の解析に有用であると考えている. 以上のことから、令和3年度の進捗状況としては順調に進展しており、これにもとづき、令和4年度に行うべき実験計画にむけて整備・実行されつつある状況である.
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今後の研究の推進方策 |
令和4年度は、Klhl21コンディショナルノックアウトマウスの解析を中心に,免疫細胞におけるKlhl21の機能に関して,Reg1 Ub化の観点から研究を進めていく.具体的には,Reg1の発現量変化とKlhl21を介したReg1 Ub化との相関関係から,慢性炎症マウスモデルを用いてT細胞特異的Klhl21ノックアウトマウスの解析を行う.特に,多発性硬化症モデルであるEAEはReg1ヘテロマウスでも炎症増悪することが報告されていることから,Reg1-Klhl21の相互作用の意義を明らかにする良いモデルであると考えられる.また,最近我々の研究成果から,骨髄造血幹細胞でのRegnaseの新しい役割を明らかにしつつあり,造血幹細胞における骨髄再構築能におけるKlhl21の役割についても解析を行う. 一方,Reg1 Ub化に関しての分子機構についても同時に検討を加える.Klhl21欠損細胞を用いて, Reg1のポリUb結合様式や,その場合のReg1タンパク質の安定性の評価を行う.特に,Klhl21依存的なReg1 Ub化が誘導される生物学的意義について,in vivo解析の結果を含めて統合的な理解を目指していく.
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