研究課題/領域番号 |
21K07085
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
林崎 浩史 東京慈恵会医科大学, 医学部, 助教 (50779907)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | NKT細胞 / NKTFH細胞 / 糖脂質 / ワクチン / 肺炎球菌 |
研究開始時の研究の概要 |
感染症対策の一つとしての“効果的なワクチン”である為には、病原体に対する特異的な免疫記憶を効率的に誘導させること、また、長期にわたって特異的抗体の産生誘導を維持させることが重要とされる。とりわけ後者の特異的抗体産生の長期維持は、急性の侵襲性感染症に対する防御に極めて重要である。 肺炎球菌は市中肺炎の主な原因菌であり、小児および高齢者には肺炎のみならず髄膜炎などの侵襲性肺炎球菌感染症を引き起こす。これまでに申請者は糖脂質をアジュバントとした新規肺炎球菌ワクチンを樹立した。本研究は当該ワクチンの詳細な作用機序の解明を目指しており、その解明により次世代のワクチン開発に繋がることが期待される。
|
研究実績の概要 |
糖脂質アジュバント含有ワクチンは生体のナチュラルキラーT(NKT)細胞を介した強力な免疫賦活作用を誘導し、非常に長期に渡って抗原特異的抗体産生を誘導することを明らかにした。また、濾胞性ヘルパーNKT(NKTFH)細胞がその作用基盤となることがわかっている。しかし、NKTFH細胞がどのようにして誘導されるのかは明らかになっておらず、本研究ではその発生機序を明らかにすることを目的とする。 これまでの研究成果より、Gr-1陽性細胞がNKTFH細胞の誘導に重要であることが示唆された。今年度はワクチン投与前、投与1日後、3日後のマウス脾臓よりGr-1陽性細胞をセルソーターにて単離し、RNAシークエンス解析を実施した。NKTFH細胞の誘導阻害効果はワクチン投与1日後にGr-1陽性細胞を除去した際に最も顕著に認められ、RNAシークエンス解析結果により、ワクチン投与1日後のGr-1陽性細胞は、投与前、投与3日後と比較して非常にユニークな遺伝子プロファイルを示すことがわかった。そこで、投与1日後のGr-1陽性細胞にて特異的に発現するサイトカインに着目したところ、インターロイキン-XX(IL-XX)を特異的に発現していることがわかった。IL-XXがNKTFH細胞の誘導に必要か判断するため、ワクチン投与マウスへIL-XX中和抗体を投与しNKTFH細胞誘導の有無を解析した。結果、Gr-1陽性細胞除去と同程度にNKTFH細胞誘導は阻害されることがわかった。さらにIL-XXの産生源がGr-1陽性細胞であるか検討する為、Gr-1陽性細胞除去抗体を投与したマウスに対し、組換えIL-XXタンパク質を投与しNKTFH細胞誘導への影響を解析した。その結果、期待通りNKTFH細胞誘導を回復させた。よって、Gr-1陽性細胞によるIL-XXがNKTFH細胞の誘導において重要な作用因子であることが明らかとなった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究成果により、NKTFH細胞の誘導に重要なIL-XXをRNAシークエンス解析、および中和実験を組み合わせることで見つけ出すことに成功した。現在、IL-XXのNKT細胞に与える影響について解析を始めており当初の計画通り順調に進捗しているといえる。
|
今後の研究の推進方策 |
IL-XXがNKTFH細胞の誘導に重要であることは明らかとなったが、糖脂質によって活性化したNKT細胞に対しどのような作用活性があるかは不明である。現在、NKT細胞にどのよう影響が起こっているか明らかにするため、IL-XX中和抗体を投与したマウスよりNKT細胞を単離し、RNAシークエンス解析を実施している。また、国内にIL-XX受容体欠損マウスを保有している研究室があり、既に共同研究としてマウス分与の許可を得ている。よってNKT細胞特異的IL-XX受容体欠損マウスを樹立させ、より詳細な解析を進める。
|