研究課題/領域番号 |
21K07087
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分49070:免疫学関連
|
研究機関 | 北里大学 (2023) 国立研究開発法人理化学研究所 (2021-2022) |
研究代表者 |
今西 貴之 北里大学, 医学部, 助教 (10513442)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
|
キーワード | T細胞 / 老化 / SASP / インフラメージング / 炎症 / 加齢関連疾患 / 加齢性疾患 / mTOR |
研究開始時の研究の概要 |
獲得免疫を担うT細胞は病原体や腫瘍細胞に対する生体防御反応において中心的な役割を果たすが、加齢による機能低下が顕著で、T細胞が老化すると生体防御機能の低下だけでなく、炎症性サイトカインやケモカインの産生増大を特徴とする細胞老化関連分泌形質(SASP)を獲得し、慢性炎症の病態を誘導すると考えられている。 そのため本研究では加齢に伴いT細胞がSASPに形質転換するメカニズムおよびT細胞の老化がどのように全身性の炎症疾患を誘導するかを自然免疫シグナルに焦点を当てながら、分子レベルで明らかにする
|
研究実績の概要 |
RIPK1を欠損したT細胞ではRIPK3とcaspase-8(Casp8)が恒常的に活性化する結果、mTORC1、Akt、ERKの基底活性が増強し、T細胞の老化が促進することをin vitroで明らかにした(Imanishi et al., Sci Adv, 2023)が、RIPK3とCasp8が加齢関連疾患の発症や生存率におよぼす影響は明らかでない。そこでRIPK1/RIPK3二重欠損マウスとRIPK1/Casp8二重欠損マウスを作製した。その結果、RIPK1/RIPK3二重欠損マウスでは加齢関連疾患の発症がほとんど抑制されなかったが、生存率が有意に回復することが明らかになった。一方、RIPK1/Casp8二重欠損マウスでは加齢関連疾患の発症や生存率、末梢のT細胞の表現型がほとんど正常に回復した。これらの結果からT細胞特異的なRIPK1欠損(RIPK1-tKO)マウスにおける加齢関連疾患の発症や生存率の低下には、RIPK3とCasp8が重要な役割を果たすことが明らかになった。そのため、RIPK1/RIPK3/Casp8三重欠損を作製したところ、末梢でB220陽性のT細胞が異常に増殖し、自己炎症性リンパ球増殖症(ALPS)を発症することが明らかになった。しかしながら、興味深いことにRIPK1/RIPK3/Casp8三重欠損マウスでは加齢関連疾患の発症が認められなかった。 これらの結果から、RIPK3とCasp8は加齢関連疾患の発症を促進するとともにALPSの発症を抑制する機能があることが明らかになった。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の研究計画通りに加齢関連疾患の発症におけるRIPK3とCasp8の役割を明らかにすることができた。
|
今後の研究の推進方策 |
RIPK1がCasp8とRIPK3によるAkt、mTOR、ERK、caspase-3/7の基底活性を抑制することを明らかにしてきたが、Casp8とRIPK3を活性化する上流の分子やCasp8とRIPK3の下流の分子は明らかになっていない。そのため、RIPK1欠損T細胞および老化T細胞においてCasp8とRIPK3を活性化する上流の分子やCasp8とRIPK3の下流の分子を明らかにする。
|