研究課題/領域番号 |
21K07105
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
堺 隆一 北里大学, 医学部, 教授 (40215603)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
|
キーワード | 神経芽腫 / チロシンリン酸化 / チロシンホスファターゼ / ALKキナーゼ / PTP-RZ / チロシンキナーゼ |
研究開始時の研究の概要 |
本研究の目的は、明らかになったALKやSrcなどのチロシンキナーゼによる神経芽腫の活性化シグナルに対して、これらの活性化シグナルと拮抗する脱リン酸化シグナルの重要性を検証することである。これまでの検討から受容体型チロシンホスファターゼPTPRZに着目し、神経芽腫におけるALKとSrcの基質群に関するこれまでの知見を用いて、PTPRZがALKシグナルとSrcシグナルの分子にどのような影響を与えるかを明らかにする。基質のリン酸化、造腫瘍能、転移能に加え、他の腫瘍でPTPRZが関与すると言われる幹細胞性についてもその影響を調べる。
|
研究実績の概要 |
神経芽腫におけるPTP-RZの役割を知るため、初年度に樹立したsiRNAをもちいたPTP-RZタンパク質の発現抑制の系と、クローニングしたcDNAを用いたPTP-RZタンパク質の強制発現の系を用いた系を使ってRTP-RZの発現と神経芽腫の特性の関わりに関する解析を進めた。ホスファターゼ活性を測定するため、内在性の基質として報告されているパキシリンのリン酸化をイムノブロットにより検出する系も導入した。PTP-RZの発現がある程度見られる神経芽腫数種でPTP-RZの発現が細胞増殖・細胞運動・細胞形態・増殖因子下流シグナル(ERK、AKT)に与える影響について解析を行った。 結果として、用いた神経芽腫細胞ではPTP-RZの絶対的な発現量がそれほど多くないこともあり、神経芽腫の進行やそれに関わるALKキナーゼの逆反応としてのPTP-RZの役割は明確に確認することができなかった。公開データベースを用いて、神経芽腫患者組織においては、PTP-RZの発現量が高いことが神経芽腫の予後良好と関与していることが示すことができているので、発現の高い細胞株の選択やオルガノイドカルチャーなどによってPTP-RZの発現が神経芽腫の特性に影響を与える条件を探索している。 またPTP-RZ以外の増殖制御に関わるホスファターゼとして、PTP-PESTが神経芽腫に中程度に発現し、やはり発現が高い方が神経芽腫の予後良好につながることを見いだしたため、現在特異抗体による発現解析やALKのリン酸化基質に対する影響の解析などを行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
十分に実験を進めることができたが、通常の2次元培養では当初の候補ホスファターゼであるPTP-RZの十分なオンコジェニックな作用やALKの逆反応への関与を示すことができなかった。
|
今後の研究の推進方策 |
PTP-RZに関しては腫瘍細胞のみの2次元培養から離れて、オルガノイドカルチャーや腫瘍組織解析などで間質細胞とのやりとりも含めてその作用を理解していきたい。PTP-RZ以外の候補ホスファターゼについても検索を広げ、神経芽腫の悪性化に関わるALKキナーゼの逆反応を司るホスファターゼの正体の解明に努めたい。
|