研究課題/領域番号 |
21K07106
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東京医科大学 |
研究代表者 |
平本 正樹 東京医科大学, 医学部, 教授 (70297828)
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研究分担者 |
川原 玄理 東京医科大学, 医学部, 准教授 (40743331)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | がん / チロシンキナーゼ阻害薬 / 上皮間葉転換 / 浸潤・転移 / アクチン細胞骨格 / GAK |
研究開始時の研究の概要 |
がんの克服には、再発・転移の制御が重要である。転移の始まりは局所からの浸潤であり、浸潤能の獲得には、上皮間葉転換(EMT)が鍵となる。我々は、EGFRチロシンキナーゼ阻害薬の副次的標的分子であるcyclin G associated kinase (GAK)の欠損によって、EMTが誘導されることを独自に見出した。本研究では、EMTの分子基盤解明とEMT抑制による浸潤・転移の克服を目的として、①EMTにおけるGAKの分子機能と生理作用の解析、②モデル動物による転移能の検証、③EMT抑制化合物のスクリーニングと検証を行う。
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研究成果の概要 |
チロシンキナーゼ阻害薬(TKIs)ゲフィチニブの副次的標的分子であるcyclin G associated kinase(GAK)が、がん細胞の上皮間葉転換(EMT)に対して抑制的に働くことを明らかにした。GAKによるEMTの抑制には、GAKのキナーゼ活性が関わることが示され、GAKのキナーゼ活性を抑制するゲフィチニブなどのTKIsは、EMTを誘導し、がん細胞の浸潤・転移を誘発する可能性が示唆された。また、EMTの特徴の一つであるアクチン細胞骨格の再編成に関わる分子機序として、GAKによるミオシンホスファターゼの制御が明らかになりつつあり、EMT抑制法の開発に繋がる新たな経路が提示された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
GAKの生理機能としては、エンドサイトーシスや細胞周期制御に関わることが報告されており、我々の解析でオートファジー制御にも関わることが示されていたが、EMTや、がんの浸潤・転移との関連は不明であった。本研究では、GAKがEMTに対して抑制的に働くことが明らかとなり、その分子機序の一端が明らかとなった。生理的・病理的に重要なプロセスであるEMTの分子基盤について、統合的理解の深化に繋がる成果と考えられる。また今後、浸潤・転移の予防・抑制によるがんの克服と、臓器の線維化などEMTを背景とする臨床課題への応用展開に結びつく可能性を提示する成果としても重要である。
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