研究課題/領域番号 |
21K07118
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
滝野 隆久 金沢大学, GS教育系, 教授 (40322119)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
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キーワード | 細胞外マトリックス / 細胞外マトリックス分解酵素 / マトリックスメタロプロテアーゼ / がん浸潤 / がん転移 / 細胞運動 / がん微小環境 / 線維芽細胞 / がん細胞 / 微小環境 / 浸潤 / インテグリン / 細胞浸潤 |
研究開始時の研究の概要 |
がん治療の大きな障壁となるのは、がん組織におけるがん細胞の階層性とがん微小環境の不均一性である。がん微小環境は、がん細胞やがん関連線維芽細胞 (CAF)等の細胞性成分とがん細胞外マトリックス(ECM)から構成されている。がんECM構築に中心的な役割を果たしているのは、がん細胞により教育されたCAFである。がん組織におけるECMのScrap & Buildはがん微小環境の不均一性の中核であり、ECM分解酵素によるECM改変誘導がその引金となる。本研究では、がん細胞-CAF-がんECM間の相互教育プログラムを解明し、がん治療効果の増強が期待されるがん微小環境の正常化療法の開発を試みる。
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研究成果の概要 |
本研究では、鉄がMT1-MMPの発現を制御し、MMP-2活性化とがん細胞浸潤を誘導することを報告した。鉄の枯渇はMT1-MMP発現減少とMMP-2活性化抑制を誘導した。鉄添加によるMT1-MMP発現とMMP-2活性化亢進は、siRNAによるMT1-MMPの発現抑制、MMP阻害剤あるいは抗酸化剤処理により抑制されたことから、MT1-MMPと活性酸素種の関与が示唆された。がん細胞の鉄キレート剤処理は、細胞浸潤を抑制した。Deferasiroxは経口の鉄キレート剤であり、半減期が長く、臨床試験で優れた耐用性があることから、抗転移薬として効果的であることが示唆された。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
固形がん患者の多くは転移が原因で死亡する。鉄の細胞内流入増加と排出低下は、がんの発生率増加と臨床成績悪化に結びつく。鉄の排出ポンプの過剰発現は、MMP-2、MT1-MMPやIL-6の発現を低下させ子宮がんの腹膜播種を阻害する。これらの研究結果と一致して、本研究ではMT1-MMP発現、MT1-MMPを含む細胞外小胞の分泌と細胞運動の亢進、即ちがん細胞浸潤に細胞内鉄が必要であることを示した。一方、ヒト正常線維芽細胞における鉄は、MT1-MMPを介したMMP-2活性化に大きな影響を及ぼさなかった。鉄キレート剤は、がん細胞周囲の正常線維芽細胞に影響しない抗転移薬として期待される。
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