研究課題/領域番号 |
21K07124
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 岡山大学 |
研究代表者 |
小渕 浩嗣 岡山大学, 医歯薬学域, 講師 (10304297)
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研究分担者 |
藤田 洋史 岡山大学, 医歯薬学域, 助教 (20423288)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | ABCトランスポーター / がん / 低分子二本鎖RNA / 細胞死 / HIF-1 / 遺伝子発現抑制 / アポトーシス / siRNA / 細胞増殖抑制 / ABC輸送体 / 情報伝達経路 / 抗腫瘍効果 |
研究開始時の研究の概要 |
ATP-binding cassette(ABC)輸送体は、ATPエネルギーを利用して抗がん剤などの薬剤の細胞外排出や生理活性物質の細胞内外への輸送など多様な役割を担う膜タンパク質である。本研究では、がん細胞におけるABC輸送体のタンパク質発現抑制による細胞死誘導機構を解明すると共に、動物実験でのがん組織内の特定のABC輸送体のタンパク質発現抑制が抗腫瘍効果につながる可能性を検討し、ABC輸送体の新たな機能の理解と新規がん治療法開発の糸口を探求する。
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研究実績の概要 |
ATP-binding cassette transporter G2 (ABCG2)は、様々な薬剤や生理活性物質を体外に排出する生体バリア機能を担う輸送体である。代表者はABCG2機能阻害の手段として、siRNAによるABCG2遺伝子ノックダウンが、各種のがん細胞で増殖抑制や細胞死が誘導されることを見出し、その細胞死シグナル伝達機構やABCトランスポーターの新たな生理的意義を明らかにすることを目的としている。 種々のがん細胞株における各種ABCトランスポーターの発現抑制と細胞生存率の解析を中心に行い、ABCG2遺伝子の他に、P-Glycoprotein 1(ABCB1)、Multidrug resistance-associated protein 1(ABCC1)など、主としてABCG2に類似した機能を示すABCトランスポーターについて検討したところ、ABCG2以外でも細胞生存率を有意に低下させるABCトランスポーター遺伝子の存在が認められた。その遺伝子のノックダウンによる細胞生存率の低下はABCG2ほど顕著ではないが、何らかの共通点が存在する可能性も否定できないことから引き続き研究を進めている。ABCG2ノックダウンによる細胞死誘導メカニズムの解析では、数種のBcl-2 familyタンパク質に発現量変化が認められ、Aktシグナル伝達経路も細胞死誘導に寄与する可能性が示唆された。ABCG2ノックダウンによる低酸素誘導因子(HIF-1: hypoxia-inducible factor-1)活性への影響については、未だ結論は得られていないものの、がんの悪性化の関わりを解明するためにもより詳細な解析が必要と考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
申請当初は、自家発光遺伝子を搭載したpCMVluxプラスミドベクター(490 BioTech社)を細胞に導入することで、通常、解析時に必要なルシフェリンなど基質に左右されない「恒常発光がん細胞」を各種のがん細胞から新たに作成し、それらを用いて実験する予定であった。しかし、当該プラスミドベクターやそれを導入した細胞も販売停止となったため、改めて細胞株の選定を行った。最終的には、In vivoイメージングで実績のあるルシフェラーゼ遺伝子を導入した膵臓がんをはじめとする細胞株を購入して各実験を行いABCG2だけでなく他のABCトランスポーター遺伝子のノックダウンによる細胞死が様々ながん細胞株で確認された。よって、計画にはないが今後の研究を遂行する上で重要な問題と考えられABCトランスポーター遺伝子抑制による細胞死の解明を進めている。この解析結果は今後の研究に資するものである。しかし、当初の項目である「細胞死シグナル伝達経路の解析」ならびに「HIF-1関連の解析」の実験がやや遅れている。大きな理由としては、これまで実験に使用していた機器が他の研究室へ移設されたことや研究を進める上で不可欠な機器の故障が重なったことにより研究の中断を余儀なくされたことなどが挙げられる。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、ルシフェラーゼ遺伝子を導入した膵臓がんなど数種のがん細胞におけるABCG2遺伝子のノックダウンによる細胞死誘導メカニズムの研究を着実に進め、科学雑誌での論文を通して研究成果を公表する予定である。また計画項目として挙げている低酸素誘導因子(HIF-1: hypoxia-inducible factor-1)においても、低酸素培養キットを用いて研究を進める。がん細胞におけるABCG2発現抑制によってHIF-1活性がどのような影響を受け、がん悪性化とABCG2発現の関わりについて解析を行い、ABCG2の新たな生理学的役割について論文を通して研究成果の公表を予定している。
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