研究課題/領域番号 |
21K07128
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 埼玉医科大学 (2022-2023) 宮崎大学 (2021) |
研究代表者 |
市川 朝永 埼玉医科大学, 医学部, 講師 (80586230)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | PRMT5 / NDRG2 / HSP90 / ATL / がん / synthetic lethality |
研究開始時の研究の概要 |
新規がん抑制遺伝子NDRG2発現低下は高リン酸化PRMT5に依存したHSP90Aアルギニンメチル化修飾を引き起こす。HSP90Aアルギニンメチル化によるシャペロン活性亢進がクライアントタンパク質を安定化させATLがん発症進展に繋がっていた。PRMT5発現抑制すると細胞死を誘導したが、NDRG2発現正常細胞ではこの現象が出現しないことから、NDRG2発現低下ATLがん細胞のみで特異的に細胞死させる合成致死性(Synthetic lethality)を発見した。そこで本研究は合成致死性を介したNDRG2欠損がん特異的なPRMT5酵素活性に依存したHSP90を標的とした新規阻害剤の創出を目的とする。
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研究成果の概要 |
新規がん抑制遺伝子NDRG2はATLを含む多くのがんで有意に発現低下している。NDRG2発現低下はタンパク質群の高リン酸化を引き起こして情報伝達系の恒常的な活性化を惹起し、がん発症進展に関わっていた。さらに、NDRG2発現低下がん細胞で細胞質特異的な高リン酸化PRMT5に依存したアルギニンメチル化異常を見出した。PRMT5、結合タンパク質の発現抑制や酵素活性阻害がNDRG2発現低下ATLで特異的に細胞死を誘導する合成致死性を惹起することを発見した。本研究は合成致死性の機序解析および合成致死性を介したNDRG2欠損がん特異的なPRMT5酵素活性を標的とした新規阻害剤の創出を目的とする。
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研究成果の学術的意義や社会的意義 |
NDRG2発現低下によってストレス応答の恒常性維持機構が破綻し、慢性炎症、異常な情報伝達系および翻訳後修飾の亢進が惹起され、腫瘍発症進展、予後不良、薬剤抵抗性および生存率低下に関与している。そのため、NDRG2欠損がん細胞で特異的に「合成致死」を引き起こすPRMT5阻害を標的とした阻害剤はがんに特異的に効果を発揮し、NDRG2発現が保たれる正常細胞では影響を回避できる可能性が高い。また、検索しようとしている阻害剤は細胞質でのPRMT5阻害効果であり、作用点の違う細胞表面を標的とする抗体、分子標的薬や核内を標的する阻害剤と併用することで容量の低減や副作用の軽減に繋がる可能性がある。
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