研究課題/領域番号 |
21K07136
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 関西学院大学 |
研究代表者 |
大谷 清 関西学院大学, 生命環境学部, 教授 (30201974)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | E2F / pRB / ARF / p53 / RB / がん化抑制 |
研究開始時の研究の概要 |
転写因子E2F1は、がん抑制因子RBの機能欠損により活性化されるとがん抑制因子p53を活性化することにより、がん化抑制に中心的な役割果たしている。我々は、E2F1のN末端領域が転写活性に重要であることを見出し、またN末端領域と相互作用する新規因子を複数同定した。本研究では、新規相互作用因子によるE2F1活性の制御メカニズムを明らかにし、がん細胞特異的に存在するE2F1活性を増強させる術を探り、がん特異的治療法の開発に貢献する。
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研究実績の概要 |
転写因子E2F1は、二大がん抑制因子の1つpRBの機能欠損によって活性化されると、もう1つの二大がん抑制因子p53を活性化するARFがん抑制遺伝子を活性化することにより、がん化抑制に重要な役割を果たしている。E2F1のN末端領域が、がん抑制遺伝子の活性化に貢献していることを見出した為、その役割と相互作用因子による活性の制御メカニズムを解析している。 1) がん抑制遺伝子活性化におけるE2F1のN末端領域の役割 E2F1のN末端領域に新たな転写活性化領域が存在し、基本転写因子GTF2H2と相互作用することを見出した為、E2F1による標的遺伝子の活性化におけるGTF2H2の役割を検討している。今年度は、GTF2H2およびGTF2H2に対するshort hairpin RNA(shRNA)を発現する組換えアデノウイルスを作成し、E2F1による内在性遺伝子発現に及ぼす影響を検討した。その結果、GTF2H2の過剰発現によりE2F1によるがん抑制遺伝子の発現誘導が増強し、逆にノックダウンにより減弱した。以上から、E2F1のN末端領域は、GTF2H2と相互作用することにより、標的遺伝子の活性化に貢献していると考えられた。 2) E2F1と相互作用する因子によるE2F1活性の増強または抑制メカニズム E2F1の転写活性を増強する因子として、転写のコアクチベーターDDX5, WDR1, 基本転写因子GTF2H2を、抑制する因子としてサイクリンD1, 転写因子NF-kB(RelA), WDR77を同定している。そこで、内在性の因子がE2F1による標的遺伝子の活性化の増強または抑制に関与しているか否かをshRNAを用いたノックダウンにより検討している。今年度は、サイクリンD1およびNF-kB(RelA)のノックダウンにより、E2F1による標的遺伝子の活性化が増強することを確認した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
E2F1のN末端領域の転写活性化における役割が明らかとなり、更にE2F1の新規相互作用因子がE2F1による標的遺伝子の転写活性化に影響を及ぼしていることが明らかになりつつあるため。 1) がん抑制遺伝子活性化におけるE2F1のN末端領域の役割 E2F1のN末端領域に新たな転写活性化領域があることを見出し、Yeast two-hybrid法を用いて相互作用因子を検索したところ、基本転写因子GTF2H2を同定した。E2F1による標的遺伝子の活性化におけるGTF2H2の役割を検討したところ、GTF2H2の過剰発現によりE2F1による標的遺伝子の活性化が増強し、逆にノックダウンで減弱した。これらのことから、E2F1のN末端領域が基本転写因子GTF2H2と相互作用することにより、転写活性化に貢献していることが明らかとなった。 2) E2F1と相互作用する因子によるE2F1活性の増強または抑制メカニズム それぞれの因子の過剰発現がE2F1による標的遺伝子の活性化を増強または減弱することが確認された。更に、shRNAを用いたノックダウンにより、内在性のDDX5とGTF2H2がE2F1による標的遺伝子の活性化に貢献し、内在性のサイクリンD1とNF-kB(RelA)がE2F1による標的遺伝子の活性化を抑制していることが明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
予想通りの成果が得られつつある為、当初の予定通りに推進して行く。 1) がん抑制遺伝子活性化におけるE2F1のN末端領域の役割:E2F1とGTF2H2との物理的相互作用を免疫沈降における共免疫沈降で確認する。N末端にタグを付けて調べたところ、相互作用因子が結合するとタグを認識出来なくなることが分かった。その為、C末端にタグを付加したそれぞれの発現ベクターおよび組換えアデノウイルスベクターを作成した。これらを用いて、共免疫沈降を行う。 2) E2F1と相互作用する因子によるE2F1活性の増強または抑制メカニズム:相互作用因子によるE2F1活性の増強または抑制メカニズムを探る為に、細胞内における相互作用部位をbimolecular fluorescence complementation(BiFC)法により検討する。サイクリンD1、NF-kB(RelA)、WDR1に関しては、BiFC用の発現ベクターおよび組換えアデノウイルスベクターを作成済みである。 3) がん細胞における相互作用因子の作用の有無:がん抑制遺伝子を活性化するE2F1活性は、pRBの機能欠損をもつがん細胞に特異的に存在する。このE2F1活性に対し、E2F1の新規相互作用因子がその活性の増強または抑制に作用しているか否かを検討する。その為に、種々のがん細胞株において、shRNAを用いてそれぞれの因子の発現をノックダウンし、E2F1活性が減弱または増強するか否かを、レポーターアッセイおよび内在性の遺伝子発現において検討する。それぞれの因子に対するshRNAの発現ベクターおよび組換えアデノウイルスベクターは作成済みである。
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