研究課題/領域番号 |
21K07140
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
|
研究機関 | 愛知県がんセンター(研究所) |
研究代表者 |
小島 康 愛知県がんセンター(研究所), がん病態生理学分野, 主任研究員 (30464217)
|
研究分担者 |
三城 恵美 (佐藤恵美) 名古屋大学, ITbM, 特任講師 (00455544)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 悪液質 / ビタミンB / NAD / 大腸がん / がん / プロテオミクス |
研究開始時の研究の概要 |
がん悪液質は、体重減少・骨格筋萎縮・食思不振を主徴とする臨床症候群である。進行がん患者の約8割が、悪液質を発症し、世界では年間900万人近くのがん患者が悪液質を発症していると推定されている。現在、悪液質の本態は不明で、実効性のある早期診断方法や治療介入法が存在しない。本研究では、悪液質モデル動物および臨床検体を組み合わせ、総合的に解析して悪液質治療薬の開発基盤を構築する。
|
研究実績の概要 |
がん悪液質は、進行性の体重減少・骨格筋萎縮・食思不振を主徴とする複合的な代謝性症候群である。多くの進行がん患者が、悪液質を発症し、世界では年間900万人近くのがん患者が悪液質を発症している(Lok C., Nature, 2015)。がん悪液質はがん患者の約20%にとって直接死因であるとされる。紀元前の文献にも、悪液質に関する記録が残されているが、現在に至るまで、悪液質の本態は不明である。悪液質の主徴である骨格筋の萎縮は、患者のPerformance Status(PS)やQuality of Life (QOL) を著しく低下させる。PSが低下した患者では、標準的な抗がん治療からの脱落せざるえなくなる。実効性のある早期診断方法や治療介入法の開発が望まれている。がん悪液質モデルマウスを解析したところ、悪液質肝臓ではNAD(nicotinamide adenine dinucleotide)濃度が半減して、そしてNAD分解酵素であるCD38の発現が上昇することが特徴的であった。肝臓は、生体のNAD代謝の中心であり、全身にNADの前駆体であるニコチンアミドを提供している(Liu L. et al., 2018, Cell Metabolism)。CD38は生体のNAD分解系の主要酵素であるとされている。NAD前駆体を含むビタミンB製剤を投与したが、がん悪液質モデルマウスの生存期間は延長しなかった。CD38阻害剤Compound 78cはSEKIがん悪液質モデルマウスの肝臓および骨格筋重量を増加させることが示唆された。マウスがん悪液質モデルおよびヒト胃がん悪液質患者血液ではNAD前駆体であるトリプトファン濃度の低下を認めた。本研究成果はがん悪液質の代謝学的側面の解明に関して一定の貢献をすることが期待される。
|