研究課題/領域番号 |
21K07141
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
石原 誠一郎 北海道大学, 先端生命科学研究院, 助教 (10719933)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
完了 (2023年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | がん細胞 / 圧縮ストレス / 膵がん / がん関連線維芽細胞 / がん / 浸潤 / メカノバイオロジー / CAF / MMP1 / 細胞培養 |
研究開始時の研究の概要 |
がん細胞の浸潤はがん患者の予後不良に強く相関する.がん細胞は生体内で圧縮ストレスを受けるが,圧縮ストレスが浸潤能に与える影響は不明である.細胞に圧縮ストレスを与える既存の方法では,浸潤できない物質中にがん細胞を埋め込むため,圧縮ストレスを与えながら浸潤を解析することができない.そこで本研究ではがん細胞に圧縮ストレスを加えると同時に浸潤能を測定することができる独自の培養法を用いて,圧縮ストレスががん細胞の浸潤能を上昇させるか否かを検証するとともに,その分子機構を解析する.
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研究実績の概要 |
圧縮ストレスは多くの固形がんで必然的に生じるストレスである一方、それががん細胞に与える影響はほとんどわかっていない。我々は細胞をコラーゲンゲル中で三次元的に培養し、その後ステンレスのおもりを載せることでゲルごと細胞を圧縮する実験系を確立した。本研究ではその実験系を用いて、圧縮された細胞において生じる遺伝子発現の変化および表現型の変化を解析した。圧縮された膵がん細胞ではIL-8の発現がMAPK経路依存的に増加することを見出した。また圧縮ストレスは膵がん細胞、肝がん細胞においてlncRNAであるNEAT1の発現を誘導することを発見した。圧縮ストレス依存的なNEAT1の発現上昇にはMYCの活性およびアクトミオシンの働きが重要であることを示唆するデータが得られている。加えて、圧縮ストレスが膵がん細胞の増殖を抑制することを見出した。圧縮ストレスにより細胞数の増加が抑えられるとともにKi67の発現量が減少することを確認した。また圧縮ストレスは膵がん細胞株のRbタンパク質のリン酸化を抑制することが分かった。そのため、圧縮ストレスは細胞周期のG1/S移行を抑制することで細胞分裂を阻害している可能性が示唆された。さらにがん関連線維芽細胞(CAF)のモデル細胞であるマウス由来の間葉系幹細胞を圧縮したところ、がん抑制性CAFのマーカーであるMeflinの発現が抑制されることを見出した。この結果は圧縮ストレスががん細胞のみならず、CAFにおいてもがん促進性の表現型をもたらすことを示唆している。以上の通り、圧縮ストレスががん細胞およびCAFに与える影響について検証を進めた。
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