研究課題/領域番号 |
21K07143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
吉野 優樹 東北大学, 加齢医学研究所, 助教 (60755700)
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研究分担者 |
千葉 奈津子 東北大学, 加齢医学研究所, 教授 (50361192)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 中心体 / 中心小体 / BRCA1 / RACK1 / 乳がん / 翻訳後修飾 / 局在制御 |
研究開始時の研究の概要 |
BRCA1は乳がんの発がんに関与する重要ながん抑制遺伝子である。BRCA1の乳腺細胞特異的な中心体制御能の異常が、BRCA1関連発がんに組織特異性をもたらすと考えられているが、その詳細な分子機構は明らかになっていない。 本研究では、BRCA1および関連分子による乳腺細胞特異的な中心体制御機構を解明し、BRCA1関連発がんの組織特異性の原因を明らかにするとともに、発がん機構に基づく新たながん治療法・予防法開発のための基盤を構築することを目的とする。そのために、BRCA1の中心体への局在機構、およびBRCA1による中心体複製制御因子の活性制御機構に焦点を当てて解析を行う。
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研究実績の概要 |
BRCA1複合体による中心体複製制御機構を明らかにするため、本年度はBRCA1複合体構成因子が中心小体複製のどのステップに必要なのかを解析した。BRCA1複合体構成因子であり、中心体複製に必要であることが明らかになっているRACK1をRNAiでノックダウンし、中心小体複製の各段階が進行しうるかを調べた。中心小体複製のマーカーとして、娘中心小体複製の足場として最初期に母中心小体に集族するCEP192およびCEP152、CEP152依存性に活性化したPLK4によってリン酸化され、娘中心小体原基を形成するSTILおよびNEDD1を用いて解析を行った。その結果、RACK1をノックダウンするとSTIL、NEDD1の集族が抑制された。このことから、RACK1が娘中心小体原基の形成ステップで必要であることが示唆された。 また、RACK1は複数の残基でリン酸化を受けることが知られている。中心体においてリン酸化されていることが示唆されているセリン残基を変異させ、内在性RACK1をノックダウンした細胞に発現させたところ、STILの集族障害をレスキューできなかった。さらに、同セリン残基のリン酸化ペプチドに対する特異抗体を作成し、免疫染色によってリン酸化RACK1の局在を観察したところ、リン酸化RACK1が中心体に局在し、その局在量は細胞周期によって変動することが明らかになった。これらから、RACK1が中心体制御キナーゼによってリン酸化されることが、娘中心小体原基形成に必要であることが示唆された。 さらに、種々の細胞株を用いて解析したところ、RACK1をノックダウンすると乳がん細胞株ではSTILの集族が抑制されるが、乳がん以外の細胞株では抑制されず、娘中心小体原基形成のRACK1依存性は組織特異的であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
予定通り、BRCA1複合体構成因子が中心小体複製のどのステップで必要とされるかを明らかにすることができた。これによって、中心小体複製におけるBRCA1複合体の作用標的を絞り込むことができ、次年度予定しているBRCA1複合体による中心小体複製制御メカニズムの解析が容易になった。 また、RACK1の中心小体複製制御能に関与するリン酸化アミノ酸残基を同定することができ、かつ当該残基のリン酸化特異抗体を得ることができた。これらをツールとして用いることで、細胞周期におけるBRCA1複合体の挙動や活性をさらに詳細に解析することが可能になった。
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今後の研究の推進方策 |
2020年度の成果によって、BRCA1複合体が娘中心小体原基形成のステップに関与することが明らかになった。今後は、さらにその分子メカニズムを明らかにするため、娘中心小体原基形成を制御するPLK4の活性制御や、娘中心小体原基の構造タンパク質であるSTIL、NEDD1、SAS6などとの相互作用を解析し、BRCA1複合体の作用標的、および作用機序を明らかにすることを目指す。 また、娘中心小体原基形成のRACK1依存性が乳がん特異的であったことから、中心小体複製制御系の中に組織特異的にRACK1と相互作用する因子が存在すると考えられる。今後、これらを同定し、BRCA1複合体の異常による発がんの組織特異性の分子機序の解明につなげたい。
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