研究課題/領域番号 |
21K07147
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
林 真路 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (70755503)
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研究分担者 |
小寺 泰弘 名古屋大学, 医学系研究科, 教授 (10345879)
猪川 祥邦 名古屋大学, 医学部附属病院, 病院講師 (80772863)
檜 顕成 名古屋大学, 医学系研究科, 特任教授 (90383257)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2022年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
2021年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
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キーワード | 膵癌 / one carbon metabolism / メチル化 / 葉酸 / メチオニン |
研究開始時の研究の概要 |
難治である膵臓癌発癌についてone carbon metabolismの関与を考えたとき、葉酸・メチオニン摂取により予後が改善することは疫学的に証明されているが、その分子生物学的機序は明らかでない。本研究では、膵癌切除症例について、術前尿検体に含まれる代謝産物プロファイルによりone carbon metabolismの活性化状態を評価し、対応する膵癌組織での癌化に関わる遺伝子のメチル化頻度との相関を明らかにする。つまり、one carbon metabolismの活性化が膵癌の癌化に抑制的に働く機序を解明し、治療標的とできるかについて検討する。
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研究実績の概要 |
難治である膵臓癌発癌についてone carbon metabolismの関与を考えたとき、Folic acid (葉酸)・メチオニン摂取により予後が改善することは疫学的に証明されているが、その分子生物学的機序は明らかでない。本研究では、膵癌切除症例について、術前尿検体に含まれる代謝産物プロファイルによりone carbon metabolismの活性化状態を評価し、対応する膵癌組織での癌化に関わる遺伝子のメチル化頻度との相関を明らかにする。つまり、one carbon metabolismの活性化が膵癌の癌化に抑制的に働く機序を解明し、治療標的とできるかについて検討することを目的とした。 R3年度に得られた尿検体における代謝物の解析と並行して、血清検体を用いたone carbon metabolismの更新状態を評価することも必要と考えられたため、40例の膵癌切除検体について、Folic acid (葉酸)およびAdenosylmethionine(SAM)の血清値を定量的に測定し、病理学的因子と比較した。その結果、リンパ節転移陽性例と比較し、陰性例では有意に血清葉酸値が高値で、血清SAM値も高値の傾向であった。これはone carbon metabolismの更新は、癌の進行を抑制している可能性を示唆する結果であった。Adenosylmethionine(SAM)の増産を経てDNA メチル化が亢進するが、SAM高値例、低値例を比較して、両群にどのようなメチル化遺伝子の亢進が見られるかについて現在検討中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
One carbon metabolismサイクルの亢進状態につき、40例の血清検体を用いて葉酸値、およびSAM値の測定をELISAキットで施行した。信頼できる結果が得られたため、One carbon metabolismの亢進状態においてメチル化が亢進状態となる遺伝子群を測定中である。候補遺伝子を絞り、機能解析を進められていない点でやや遅れていると判断している。
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今後の研究の推進方策 |
尿中代謝物、および血清中のメチオニンpathwayの関連物質である葉酸やSAMの発現量を定量し、One carbon metabolismが亢進している組織群とそうでない組織群を選定して組織DNAの網羅解析を施行して、亢進群における高メチル化遺伝子群を同定する。その中から癌関連遺伝子候補群を抽出し、それらについて機能解析を行う。名古屋大学医学部附属病院・消化器外科学教室所有の膵癌細胞株10種類について候補遺伝子Xのメチル化頻度を定量的メチル化特異的PCRで測定し、頻度が高いものと低いものについて遺伝子Xのinhibition、over-expressionを行い、細胞の増殖能・遊走能・浸潤能について比較検討する。これにより遺伝子Xが本来oncogenicに働く遺伝子かどうかを調べる。 またこの遺伝子のメチル化頻度の上昇が本当にone carbon metabolismの亢進によって起きた事象であるかを確認するため、膵臓癌マウスモデルにおいて葉酸・メチオニン高用量摂取マウスとそうでないマウスで、投与後腫瘍サイズの変化と腫瘍内遺伝子Xのメチル化の程度を調べる。高用量摂取マウスでoncogenicな遺伝子群Xのメチル化が亢進し、タンパク発現の抑制が起こった場合、腫瘍増殖抑制にも寄与する可能性があると考えられる。
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