研究課題/領域番号 |
21K07156
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50010:腫瘍生物学関連
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研究機関 | 慶應義塾大学 |
研究代表者 |
桝田 司 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 訪問研究員 (40837291)
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研究分担者 |
大家 基嗣 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 教授 (00213885)
田中 伸之 慶應義塾大学, 医学部(信濃町), 講師 (60445244)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,250千円 (直接経費: 2,500千円、間接経費: 750千円)
2023年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
2022年度: 780千円 (直接経費: 600千円、間接経費: 180千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 新規3次元イメージング / 3次リンパ様構造 / 淡明型腎細胞癌 / 三次リンパ様構造 / 新規3次元イメージング / 腎がん |
研究開始時の研究の概要 |
本研究は、ヒト腎がんに拡がる腫瘍内脈管構造(血管/リンパ管)およびB細胞の集簇である、Tertiary Lymphoid Structure (TLS)を3次元で可視化し、その特徴を1細胞レベルの解像度で解析することで、組織型・臓器特異的なヒト腎がんの病態解明に努める。また分子標的治療が行われた腎がんの脈管構造も3次元で評価し、治療後の壊死組織中の極度の低酸素・低栄養に曝露される癌微小環境で、幹細胞性の維持や腫瘍増殖の原動力を担う腫瘍脈管に一体何が起きているのかを空間的に解き明かす。最終的に、分子標的治療後の腫瘍空間で生き残る癌細胞や浸潤免疫細胞で構成される異質な細胞ニッチを立体的に再現する。
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研究実績の概要 |
申請者は、最新鋭ライトシート顕微鏡の新規3次元イメージングを用いることで腫瘍内の異質な脈管構造を空間的に解明し、腎がん病態の把握並びに新規治療の開発に繋げることを目標とした。さらに本研究ではこのイメージング技術を応用し、腫瘍微小環境おけるB細胞の集簇を示す、Tertiary Lymphoid Structure(TLS)というリンパ節様構造についても3次元化することも目的とする。TLSは腎がん悪性化と深く関与する。がん免疫療法で先駆的立場の腎がん臨床組織でTLS解析を3次元で行い、腎細胞癌の腫瘍微小環境におけるTLSの役割も意義付けたいと考えた。申請者はまず、ccRCC組織(n=105)を用いてtissue micro arrayを作成し、定量的免疫組織学的解析を行った。CD20+B細胞がクラスター化し、さらにその周囲を CD3+T細胞が囲んでいるものをTLSと定義し、予後との関連を検討した。その結果、TLSの存在は腎癌において予後不良と関連していることが明らかになった。さらにccRCCと膀胱癌のTLSの特徴を比較することで、両がん間の予後への影響、TLSの成熟度と空間分布、TLSを取り巻く免疫環境の相違を明らかにした。さらに、新規3次元イメージングを用いて、ヒト腎がんの腫瘍脈管(血管/リンパ管)の免疫組織学的な可視化もすすめており、現在まで50例程のデータをそろえることができた。これについては解析も終えており、今後論文報告および学会発表を予定している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
腎細胞癌における腫瘍免疫について、特にTLSの存在意義を明らかにしたことで、その特異な微小環境の解明の一助となることが出来たと考える。さらに研究の本幹である、新規3次元イメージングについても、既に50例ほどの解析を終え、論文報告予定である。ヒト腎がんの脈管構造の異質性について意義付けることができると考える。
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今後の研究の推進方策 |
まずは現在すすめている、ヒト腎がんを用いて透明化検体の脈管構造解析についての成果を発表する。さらにすでに我々が2次元で明らかにした、腫瘍免疫環境、特にTLSについて、新規3次元イメージングを用いることで、腫瘍内の異質な構造を空間的に解明し、腎がん病態の把握並びに新規治療の開発に繋げることを目標とする。
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