研究課題/領域番号 |
21K07167
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
|
研究機関 | 旭川医科大学 |
研究代表者 |
田中 宏樹 旭川医科大学, 医学部, 助教 (70596155)
|
研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
|
研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
|
配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
|
キーワード | 肝がん / 血小板 / 肝癌 |
研究開始時の研究の概要 |
血小板は、損傷部位で活性化して増殖因子を放出し組織再生を促進する。一方で、これが腫瘍組織内で起こると、血小板由来の増殖因子により癌細胞が増殖してしまう。血小板には外部と交通している開放小管が存在し、外部の物質を取り込み、活性化によりそれらを放出する機能が備わっている。この性質を利用し、血小板に治療薬を内包させ、それを担癌個体に投与すると、癌組織内で活性化した血小板が治療薬を放出し、腫瘍細胞に対して選択的に薬剤を作用させることが期待できる。本研究ではラット肝癌モデルを用いて血小板の発癌促進因子としての性質を逆手にとった手法を肝癌に対する新たな治療法として提案したい。
|
研究実績の概要 |
前年度の解析によって、少なくともラットの肝発がん初期においてはソラフェニブやレンバチニブの肝がん治療薬を自己血小板に内包させてDDSとして利用することによって、治療効果が得られることが明らかとなった。本年度は、更に進行した肝がんモデルにおいて治療効果を確認するためのモデル作成が主な課題であった。これまで用いてきたラット化学発癌モデルに 形成された肝腫瘍組織からがん細胞を分離培養し、細胞を樹立することに成功した。しかしながら、この細胞株をラットに移植しても全身転移する肝がんモデルとはならなかった。そのため、代替手段としてすでに樹立された市販のラット肝がん細胞株を用いた移植肝がんモデルの作成に成功した。次年度以降にこのモデルを用いて、血小板を利用したDDSの治療効果を確認する。 また、正常の個体と担がん個体の血小板の生物学的特性の違いについても解析を行った。具体的には、正常ラット、肝がんラットそれぞれの血小板からRNAを抽出しRNA sequencingにより内包される遺伝子産物の量的変化から特性の違いにつて推察を行った。その結果、肝がんラット由来の血小板には正常ラットの血小板と比較して、リボソーム蛋白質をコードしているRNAが多く含まれていくことが明らかとなった。このことは肝がんラット由来の血小板は正常と比較して強いタンパク合成能を有していることが示唆される。次年度はこのことをさらに深く追求する研究を行う。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
樹立した肝がん細胞では充分な進行肝がんモデルを作成することができなかったが、市販のラット肝がん細胞を利用することで進行肝がんモデルの作成に成功した。また、正常な血小板と、担がん個体由来の血小板では生物学的特性が異なることを示唆する結果が得られ、次年度の解析に続く大きな成果が得られたと考えられる。
|
今後の研究の推進方策 |
作成できたラット肝がんの進行モデルに対して、血小板によるDDSで治療を行う。また、肝がん個体由来の血小板の生物学的特性について、更にプロテオーム解析などを加えて明らかにしたい。
|