研究課題/領域番号 |
21K07181
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 琉球大学 |
研究代表者 |
金城 達也 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 准教授 (50623386)
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研究分担者 |
前田 士郎 琉球大学, 医学(系)研究科(研究院), 教授 (50314159)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2025-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2023年度)
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配分額 *注記 |
3,900千円 (直接経費: 3,000千円、間接経費: 900千円)
2023年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
2022年度: 2,080千円 (直接経費: 1,600千円、間接経費: 480千円)
2021年度: 650千円 (直接経費: 500千円、間接経費: 150千円)
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キーワード | 大腸癌 / ヌクレオソーム / リキッドバイオプシー / 銀ナノ錯体バイオチップ / エピジェネティック / 次世代シーケンサー |
研究開始時の研究の概要 |
大腸癌はスクリーニング法が煩雑であり、沖縄県では検診率が低く、進行癌の診断率が高い。その結果、大腸癌死亡率が非常に高い。近年、リキッドバイオプシー研究が急速に発達している.さらに癌研究分野では、エピジェネティクス解析の点においてもヌクレオソームが注目されている。私達は銀ナノ錯体バイオチップを用いた血中癌細胞由来ヌクレオソーム検出による簡便かつ迅速な大腸癌診断の研究を蓄積してきた。大腸癌の発癌・進行過程と血中ヌクレオソームに付帯する癌遺伝子及びエピジェネティック変化について,本研究では銀ナノ錯体バイオチップを活用し、新規大腸癌スクリーニング法の確立及び臨床応用にも追究する。
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研究実績の概要 |
銀ナノ錯体バイオチップ捕捉塩基配列解析及び手術患者を対象としたレジストリ作成を実施。新解析機器により測定した35例のうち解析可能な25例(悪性大腸疾患22例、良性大腸疾患3例)で解析をおこなった。銀ナノ錯体バイオチップにより捕捉されたヌクレオソームの自家発光波長による癌診断では陽性18例、陰性7例であり、感度77.3%、特異度66.7%、精度76.0%であった。疑陽性症例はESD後の追加切除症例であり、リンパ節転移を含め原発巣遺残がなかったため、今後も慎重に遠隔転移の検索をおこない、精度の評価をおこなっていく。偽陰性症例3例のうちStage01例および粘液癌2例であり、粘液癌など組織型により検出困難である可能性も示唆された。さらに5例(Stage I 3例、 Stage IV 2例)について本バイオチップに捕捉されたDNAに関して次世代シークエンサーを用いてDNA塩基配列を実施した。長年にわたり本バイオチップから解析可能なDNAを抽出することが困難であったが、今回は物理的破砕によるDNA抽出を行うことで初めて解析可能なdsDNAが抽出できた。シーケンスの結果、ERBB2、SMAD4など癌関連遺伝子が検出された。またStage IV症例ではStage I症例より腫瘍遺伝子変異量が多い傾向がみられ、バリアントにも症例毎に特徴がみられた。本研究により本バイオチップの精度、特徴が明らかになりつつあり、癌診断や個別化診療での有用性が示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
銀ナノ錯体バイオチップによる癌診断および捕捉塩基配列解析を実施し、本バイオチップの精度および特徴の一部が明らかになったが、新解析機器による測定症例の集積が遅れやDNA抽出やシーケンス解析に時間を要したため、予定していたがん検診集団における研究が実施できなかった。解析可能なDNAの抽出が可能となり、その成果も得られたため、さらに解析症例を増やし、検討をおこなっている。さらに解析が遅れていたヒストンタンパク解析の情報収集が整い、解析準備をおこなっている。
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今後の研究の推進方策 |
今回の研究成果により、本バイオチップの精度と特徴の一部が明らかになった。精度については今後、検診対象者についての研究が必要であるが、同時に本バイオチップにより捕捉されたヌクレオソームの解析を行うことで、より精度が高く、個別化した判定が可能となる可能性がある。シーケンス解析対象症例を増やし、エピゲノム解析およびヒストンの解析を詳細に実施することで検出精度の向上が可能か検証を進めていく。 本バイオチップは微量血清から迅速かつ簡便にがん判定が可能であるため、従来の便潜血及び大腸内視鏡検査より簡便かつ低侵襲な癌検出法として、早期癌診断として癌診療への応用を追求していく。
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