研究課題/領域番号 |
21K07191
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 三重大学 |
研究代表者 |
堀 浩樹 三重大学, 医学系研究科, 教授 (40252366)
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研究分担者 |
森山 貴也 三重大学, 医学部附属病院, その他 (50625689)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
3,640千円 (直接経費: 2,800千円、間接経費: 840千円)
2023年度: 390千円 (直接経費: 300千円、間接経費: 90千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,820千円 (直接経費: 1,400千円、間接経費: 420千円)
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キーワード | 5アミノレブリン酸 / 光線力学療法 / 解糖系阻害 / 神経芽腫細胞 / Ferroptosis / がん特異的代謝 / グルコース6リン酸脱水素酵素 / がん微小環境 |
研究開始時の研究の概要 |
低中所得国での小児がん患者の治療成績の向上を目指して、経済的で副作用の少ない光線力学療法の開発に取り組む。がん細胞に選択的に取り込まれた後、光エネルギーを受けて活性酸素を放出することでがん細胞のアポトーシスを誘導する5ALAを併用した光線力学療法の小児がん細胞に対する有効性評価と解糖系阻害薬を併用した5ALA光線力学療法の有効性に関する検討を行う。特に、解糖系の一部を為すペントースリン酸回路の律速酵素であり細胞内グルタチオン濃度を維持することで細胞を酸化的ダメージから保護する作用を持つグルコース6リン酸脱水素酵素に着目し、同酵素の阻害薬の併用効果について検討する。
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研究実績の概要 |
がん細胞への選択毒性が高く、経済的で治療後の晩期合併症がほとんどない5アミノレブリン酸併用光線力学療法(5ALA-PDT)の抗腫瘍効果を高めるため、がん細胞特異的糖代謝に着目した新しい治療法の開発を目指して研究を実施している。これまでの併用薬スクリーニングからHexokinase阻害薬とグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)阻害薬が併用薬として有望であることを確認した。当該年度の研究により、以下の結果を得ている。 (1) G6PD阻害薬6-Aminonicotinamide(6-AN)併用5ALA-PDTによる酸化ストレス増強効果 ①6-AN、②5ALA-PDTによって過酸化脂質が蓄積すること、さらに③6-AN併用5ALA-PDTによって過酸化脂質蓄積が増強することを、蛍光イメージング法によって確認した。 (2) 6-ANによる酸化ストレス増強メカニズム 抗酸化作用を有する還元型グルタチオン(GSH)は、還元型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADPH)を介して、酸化型グルタチオン(GSSG)を還元して産生される。このNADPHは、ペントースリン酸回路を構成するグルコース-6-リン酸脱水素酵素(G6PD)によって、酸化型ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸(NADP+)から還元して産生される。G6PD阻害作用を有する6-AN投与の結果、NADPH / NADP+比が減少することを、NADPH、 NADP+の分別定量によって確認した。さらに、6-AN投与の結果、GSH / GSSG比が減少することを、GSSG・GSHの分別定量によって確認した。 これらの結果(1)、(2)から、6-ANがペントースリン酸回路およびグルタチオン代謝・合成系を阻害し、過酸化脂質蓄積の促進に寄与することが推定される。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
新型コロナウイルス感染症流行の影響で研究室での活動が制限されていた時期があったため研究の遅れが生じたが、その後、研究時間を確保することができつつあり、計画年度までには研究を完了する予定である。
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今後の研究の推進方策 |
2023年度は、神経芽腫に対する解糖系阻害薬併用5アミノレブリン酸光線力学療法の併用効果メカニズムを解明することを目的に研究を継続する。特に、細胞内一重項酵素のイメージング、細胞内脂質周辺のROS発生状況の定量、過酸化脂質代謝物の定量など、細胞死のメカニズムとしてフェロトーシスに着目した検討を進展させる。さらに、in vitro実験結果に基づき、実験動物を用いて6-AN併用5アミノレブリン酸光線力学療法の有効性評価を行う。
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