研究課題
基盤研究(C)
抗がん剤治療において、抗がん剤耐性獲得のメカニズムは未解明な点が多い。SPF45は、ショウジョウバエにおいてmRNAスプライシング制御因子として同定されているが、ヒトでは抗ガン剤耐性遺伝子として様々ながん組織で過剰発現が報告されている。しかし、その作用機序は不明である。本研究は、申請者の基礎研究を発展させ、スプライシング制御因子SPF45の過剰発現による抗がん剤耐性獲得メカニズムを解明、応用研究によって新規抗がん剤の創出を目指す。
ヒトSPF45遺伝子は、がん細胞で過剰発現することによって抗がん多剤耐性を獲得することが報告されている。しかし、そのメカニズムは解明されていなかった。研究代表者はSPF45がヒトの遺伝子に存在する非常に短いイントロンのmRNAスプライシングに必須な新規制御因子であることを明らかにし、2報の国際誌に成果を発表した[Fukumura et al. Nat.Commun. 12, 4910 (2021)] [Fukumura et al. Cell Rep. 42, 113534 (2023)]。がん細胞では、SPF45が過剰発現することで異常なmRNAスプライシングが引き起こされると考えられる。
研究代表者の研究成果から、SPF45過剰発現による抗がん剤耐性獲得機構の一端を理解することができた。これまで、スプライシング制御因子の異常に着目した抗がん剤耐性の獲得機構という研究は前例がなく新しい取り組みと言えるであろう。本研究成果により、抗がん剤耐性獲得メカニズムの研究において新しい領域を開拓できたのではないかと考える。
すべて 2023 2022 2021
すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
Cell Reports
巻: 42 号: 12 ページ: 113534-113534
10.1016/j.celrep.2023.113534
Anticancer Research
巻: 43 号: 10 ページ: 4663-4672
10.21873/anticanres.16662
生化学
巻: 94 号: 6 ページ: 806-813
10.14952/SEIKAGAKU.2022.940806
Cancer Science
巻: 112 号: 12 ページ: 4957-4967
10.1111/cas.15149
Nature Communications
巻: 12 号: 1 ページ: 1-12
10.1038/s41467-021-24879-y
Mol. Cell. Oncol.
巻: 8 号: 6 ページ: 1996318-1996318
10.1080/23723556.2021.1996318