研究課題
基盤研究(C)
抗がん剤治療において、抗がん剤耐性獲得のメカニズムは未解明な点が多い。SPF45は、ショウジョウバエにおいてmRNAスプライシング制御因子として同定されているが、ヒトでは抗ガン剤耐性遺伝子として様々ながん組織で過剰発現が報告されている。しかし、その作用機序は不明である。本研究は、申請者の基礎研究を発展させ、スプライシング制御因子SPF45の過剰発現による抗がん剤耐性獲得メカニズムを解明、応用研究によって新規抗がん剤の創出を目指す。
(1)過剰発現したSPF45によって異常スプライシングが誘導される遺伝子群を同定し、抗癌剤耐性獲得のメカニズムを解明するSPF45を過剰発現するHeLa細胞、HEK293細胞を構築したが、先行論文で示されているような抗がん剤耐性獲得を再現することができなかった。SPF45を過剰発現させる細胞種の検討を進める必要があるのではないかと考えられる。SPF45が異常スプライシングを誘導する抗癌剤耐性責任遺伝子の同定を今後も進める予定である。(2)SPF45依存的スプライシング制御機構の解明SPF45の相互作用因子としてSAP30BPという因子を同定した。SAP30BPは、スプライシング反応を触媒するスプライソソームに含まれていることがわかっているが、その機能はわかっていない。SAP30BP遺伝子の発現抑制を行なったHeLa細胞と、SPF45遺伝子の発現抑制を行なったHeLa細胞のRNA-seqを行ない、スプライシング阻害されるイントロンを比較すると、そのほとんどが共通であった。このことから、SAP30BPはSPF45と協調して、短いイントロンのスプライシングを制御していると考えられる。さらに、SAP30BPとSPF45のリコンビナントタンパク質を精製し、相互作用を調べて結果、SPF45のUHMドメインとSAP30BPのULMドメインで直接結合する事を明らかにした。この成果はCell Reports誌に発表した。SPF45とSAP30BPの相互作用を阻害するようなペプチドを用いることで、SPF45の過剰発現による抗がん剤耐性を抑制することができる可能性がある。
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すべて 雑誌論文 (6件) (うち国際共著 3件、 査読あり 5件、 オープンアクセス 4件) 学会発表 (4件) (うち国際学会 1件、 招待講演 1件) 図書 (1件)
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