研究課題/領域番号 |
21K07202
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 藤田医科大学 |
研究代表者 |
福村 和宏 藤田医科大学, 医科学研究センター, 講師 (80622117)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,030千円 (直接経費: 3,100千円、間接経費: 930千円)
2023年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,170千円 (直接経費: 900千円、間接経費: 270千円)
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キーワード | mRNA前駆体スプライシング / 抗がん剤耐性 / SPF45 / SAP30BP / mRNAスプライシング / ペプチド医薬 |
研究開始時の研究の概要 |
抗がん剤治療において、抗がん剤耐性獲得のメカニズムは未解明な点が多い。SPF45は、ショウジョウバエにおいてmRNAスプライシング制御因子として同定されているが、ヒトでは抗ガン剤耐性遺伝子として様々ながん組織で過剰発現が報告されている。しかし、その作用機序は不明である。本研究は、申請者の基礎研究を発展させ、スプライシング制御因子SPF45の過剰発現による抗がん剤耐性獲得メカニズムを解明、応用研究によって新規抗がん剤の創出を目指す。
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研究実績の概要 |
(1)過剰発現したSPF45によって異常スプライシングが誘導される遺伝子群を同定し、抗癌剤耐性獲得のメカニズムを解明する SPF45を過剰発現する細胞を構築し、RNA-Seqにより異常スプライシングが誘導される遺伝子群を同定する。現在、SPF45を過剰発現するHeLa細胞を構築しており、RNA-Seqに向けて準備中である。また、抗癌剤耐性を示す細胞株を単離し、SPF45の発現を解析していった結果、Lovo細胞株を5FUで処理して得られた耐性株においてSPF45の過剰発現を確認した。今後、これらの細胞のRNA-Seqを行うことによって、SPF45が異常スプライシングを誘導する抗癌剤耐性責任遺伝子の同定を進める。 (2)SPF45依存的スプライシング制御機構の解明 SPF45の相互作用因子としてSAP30BPという因子を同定した。SAP30BPは、スプライシング反応を触媒するスプライソソームに含まれていることがわかっているが、その機能はわかっていない。SAP30BP遺伝子の発現抑制を行なったHeLa細胞とSPF45遺伝子の発現抑制を行なったHeLa細胞のRNA-seqを行ない、スプライシング阻害されるイントロンを比較すると、そのほとんどが共通であった。このことから、SAP30BPはSPF45と協調して、短いイントロンのスプライシングを制御していると考えられる。さらに、SAP30BPとSPF45のリコンビナントタンパク質を精製し、相互作用を調べて結果、SPF45のUHMドメインとSAP30BPのULMドメインで直接結合する事を明らかにした。この成果は、現在、論文投稿中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
がん細胞で過剰発現したSPF45が、異常スプライシングを誘導することで、多種類の抗がん剤耐性を獲得するのではないかと考えている。現在までに、抗がん剤耐性を持ったSPF45の過剰発現するHeLa細胞の構築していることに加え、逆のアプローチから、抗がん剤耐性を持つ細胞株を単離したところ、SPF45の過剰発現も確認できた。これらの細胞のトランスクリプトーム解析によって抗がん剤耐性獲得の責任遺伝子を明らかにする事ができるであろう。 本研究で同定したSPF45の相互作用因子SAP30BPはSPF45と協調してスプライシング制御する事から、SAP30BP自身も抗がん剤耐性遺伝子なのではないかと考えられる。すでに、SPF45とSAP30BPによるスプライシング制御機構について論文を完成させ、現在投稿中である。以上のことから当初の計画以上の成果を上げていると考えている。
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今後の研究の推進方策 |
SPF45過剰発現によって異常スプライシングが誘導される遺伝子をRNA-Seqによって同定する準備が整った。今年度中にRNA-Seqを行い、異常スプライシングが誘導される遺伝子の同定を進めていく。 さらに、現在投稿中の論文のアクセプトを目指したい。
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