研究課題/領域番号 |
21K07206
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 崇城大学 |
研究代表者 |
國安 明彦 崇城大学, 薬学部, 教授 (90241348)
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研究分担者 |
中村 秀明 崇城大学, 薬学部, 准教授 (30435151)
牧瀬 正樹 崇城大学, 薬学部, 准教授 (80433001)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 910千円 (直接経費: 700千円、間接経費: 210千円)
2021年度: 1,950千円 (直接経費: 1,500千円、間接経費: 450千円)
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キーワード | ネクローシス / ペプチドメティック / ドラッグデリバリーシステム / ペプチド化合物 / アポトーシス / 乳がん / がん / 中分子薬 |
研究開始時の研究の概要 |
治療効果の高いがん治療の実現には、しばしば出現する抗がん薬抵抗性を克服することが重要である。多剤併用療法の導入が行われるが、ほとんどの抗がん薬はアポトーシス誘導を作用機序とすることから、異なる機序の細胞死の誘導が効果的と考えらえる。 本研究では、「アポトーシス抵抗性がんの新しい治療戦略の構築」を目的とし、がん細胞特異的にネクローシスを誘導するペプチド化合物を分子ツールとして活用し、in vivo で有効なネクローシス誘導剤の開発を行う。ネクローシス誘導による腫瘍縮小効果と正常組織へ与える炎症反応の影響を調べることで、新しい細胞死に基づく難治性がんに対する分子標的治療の高度化を目指す。
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研究実績の概要 |
本研究は、「アポトーシス抵抗性がんの新しい治療戦略の構築」を目的とし、がん細胞特異的にネクローシスを誘導するペプチド化合物を分子ツールとして活用 し、in vivo で有効なネクローシス誘導剤の開発を目標とする。本年度は、申請者の見出したネクローシス誘導ペプチド(MCP1-KLAK)を用いて、in vivoでの抗腫瘍効果の評価を行った。マウス乳がん細胞株4T-1移植BALB/cに、MCP1-KLAKを尾静脈投与及び腫瘍内直接投与を行い、腫瘍増殖への影響を調べた。その結果、腫瘍内直接投与で顕著な腫瘍増殖の抑制を観察した。一方で尾静脈投与では腫瘍増殖抑制はみられたが、実験手技の問題もあり、その作用は腫瘍への直接投与に比べて低かった。 一方、MCP1を含むファージディスプレイ法で得られたミクログリア結合ペプチドの配列相同性解析から、これらペプチドの受容体はケモカイン受容体CXCR4の可能性が高いことがわかった。そこで、ペプチド性CXCR4アンタゴニストCTCE-9908とKLAKペプチドを融合させたペプチドコンジュゲートを作製し、ヒト及びマウス乳がん細胞株に対する細胞死誘導活性を調べた。その結果、MCP1-KLAKと同様にネクローシス誘導活性を示した。また、ヒト正常乳腺細胞株には細胞傷害性は示さないなど、腫瘍選択性を有していた。さらに細胞死モードについて解析したところ、カスパーゼ酵素群の活性化みられず、PARP1酵素の切断も観察されず、ネクローシスであることがわかった。 今後、本化合物を用いてマウス乳がん移植モデルで抗腫瘍活性を評価する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
計画通り、作製したペプチド化合物のin vivo抗腫瘍活性を乳がん移植マウスモデルで評価することができた。さらに、腫瘍選択性の高いネクローシス誘導ペプチド化合物も合成した。本化合物は結合する受容体が明確であることから、細胞死の解析もしやすいと考えられる。よって、最終目標とする「ネクローシス誘導はがん治療に有効であるか否か」の命題に対しての答えに一歩近づいたと考えている。
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今後の研究の推進方策 |
新たに合成したCXCR4指向性ネクローシス誘導ペプチド化合物について、マウス4T1乳がんモデル系で抗腫瘍活性を評価する。腫瘍増殖と肺転移の2つを指標に、本化合物が抑制作用を示すかどうか調べる。ネクローシスが起こる分子メカニズムについても、最近、注目度が高い「リソソーム膜透過性」に着目して詳細を調べる。 以上の解析により、ネクローシス誘導ががん治療に有用であるかどうかを議論する。
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