研究課題/領域番号 |
21K07215
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
遠藤 良夫 金沢大学, がん進展制御研究所, 准教授 (30211783)
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研究分担者 |
宇都 義浩 徳島大学, 大学院社会産業理工学研究部(生物資源産業学域), 教授 (20304553)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2022年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 光線力学療法 / 5-アミノレブリン酸 / チロシンキナーゼ阻害薬 / 光線力学的治療 / チロシンキナーゼ阻害剤 / がんの診断と治療 |
研究開始時の研究の概要 |
5-アミノレブリン酸(ALA)は、がん細胞に取り込まれるとヘム生合成経路の酵素群により光感受性物質であるprotoporphyrin IXに変換されることから、がんの光線力学療法に応用されている。本研究では、多様ながん腫の診断や治療に広くALAを利用可能にすべく、分子標的薬および抗がん剤耐性克服薬としての機能を有するプロドラッグ型多機能性のALA-PDT効果増強剤の開発を目指し、ABCG2阻害作用も併せ持つチロシンキナーゼ阻害薬を結合した新たなシッフ塩基化合物を創出し、その有用性を検討する。
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研究実績の概要 |
5-アミノレブリン酸(ALA)は、がん細胞に取り込まれるとヘム生合成経路の酵素群により光感受性物質であるプロトポルフィリンIX(PpIX)に変換されることから、がんの光線力学療法に応用されている。本研究では、多様ながんの診断や治療に広くALAを利用可能にすべく、ALAとの併用により治療効果を増強する低分子化合物の探索研究を実施する。具体的には、分子標的薬および抗がん剤耐性克服薬としての機能を有するプロドラッグ型多機能性のALA-PDT効果増強剤の開発を目指し、ABCG2阻害作用も併せ持つチロシンキナーゼ阻害薬を結合した新たなシッフ塩基化合物を創出することを目的とする。 我々は、これまでの研究でALAとの同時処理により細胞内PpIX量を増加させてPDT効果を増強するシッフ塩基化合物TX-816を見出した。このTX-816は水溶液中で加水分解を受け、活性本体である3,5-ジクロロサリチルアルデヒド(DCSA)と2-クロロ-4-ニトロアニリン(CNA)に分解するが、令和3年度の研究では、CNA部位をダサチニブに置換したシッフ塩基化合物、YS3-35がPpIXの排出ポンプとして働くABCG2を阻害し、PpIXの細胞外への排出を阻害することでALA-PDTの効果を増強することを見出した。令和4年度ではYS3-35の炭素-窒素二重結合を還元的アミノ化したYS6-39を合成し、ヒトPEPT1/SLC15A1を強制発現させたヒト線維肉腫細胞HT-1080に対するALA-PDTの効果増強活性をYS3-35やダサチニブと比較検討した。その結果、YS3-35はYS6-39やダサチニブよりも強いALA-PDT効果増強活性を示した。さらに、これらの化合物とALAの同時処理後の細胞内PpIX蓄積量を調べたところ、YS3-35とALAの同時処理における細胞内PpIX蓄積量が最も高いことが明らかになった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究により、PpIXの排出ポンプとして働くトランスポーターであるABCG2を阻害するチロシンキナーゼ阻害剤にDCSAを導入したシッフ塩基は多機能型の光線力学的治療薬の効果増強剤の開発の有用なリード化合物となることが確認され、さらなる誘導体開発に有用な知見を得ることができた。
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今後の研究の推進方策 |
YS3-35を構造修飾した新たな誘導体およびダサチニブ以外のチロシンキナーゼ阻害剤を導入した誘導体の分子設計および活性評価を実施する
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