研究課題/領域番号 |
21K07217
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐藤 和秀 名古屋大学, 医学系研究科, 特任講師 (20788658)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,290千円 (直接経費: 3,300千円、間接経費: 990千円)
2023年度: 1,690千円 (直接経費: 1,300千円、間接経費: 390千円)
2022年度: 1,560千円 (直接経費: 1,200千円、間接経費: 360千円)
2021年度: 1,040千円 (直接経費: 800千円、間接経費: 240千円)
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キーワード | 腫瘍治療 / 標的治療 / 近赤外光線免疫療法 / 癌微小環境 / がん免疫 / 光改変 / がん免疫チェックポイント / photoimmunotherapy / antibody therapy / antibody drug conjugate / in vivo imaging / cancer immunology |
研究開始時の研究の概要 |
本研究を達成する事で、臓器横断的に効果のある革新的光治療法を開発し、発現に依存しない次世代NIR-PIT開発とその作用機構詳細解明を行う。申請者は呼吸器腫瘍領域の臨床医として臨床の現場で数々の壁にぶつかってきた。肺は空気で満たされ光伝導性(近赤外光で7-10cm程度)が良い臓器であるので、光治療の適応が高く今後の開発が期待できる。本研究により、いまだ完治に至らないがん治療、特に難治な肺がん治療のさらなる発展に貢献する。
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研究実績の概要 |
NIR-PITの現状はEGFRを発現した頭頸部がんが適応であり、今後の適応拡大を目指して、がん細胞の表面に高発現している抗原がない患者さんを対象として、腫瘍微小環境を光で改変することが可能な、PD-L1をターゲットとした次世代型の光励起治療を目指すのが本研究の目的である。本研究では、がん細胞が臓器横断的に発現している免疫チェックポイント分子に注目し、がんの免疫逃避機構という共通の機構を応用することで、発現は程々で(低発現で)、臓器横断かつ転移部にも一定の効果を得ることができる次世代型の光がん免疫治療法開発を行うことが目的である。in vitroの検討では、EGFRなど高発現のがん細胞をターゲットとする場合と比べて、PD-L1の発現は少なく、効果は限定的であった。しかしながら、in vivoのマウス同種がん移植モデルでは、in vitroの結果からは推定できないほどの高い治療効果が得られた。10%の確率で完治(CR)する個体も得ることができた。両側臀部腫瘍モデルでは、片側のみの光照射で、対側にも効果が見られた。in vivo イメージングにより、視覚・定量的に効果測定ができた。効果確定により、腫瘍特異抗原に依存しない新しい概念の光治療創生につながると考えている。光照射により、がん微小環境のがん免疫を抑制するMDSCの減少や、炎症によりさらにPD-L1の発現が増加することで、腫瘍微小環境を改変し、多大な抗腫瘍効果に繋がっている可能性を示唆する結果が得られている。本コンセプトは①近赤外光線免疫療法による直接的光腫瘍細胞破砕 ②PD-L1による免疫チェックポイント阻害効果による抗腫瘍免疫の全身性惹起 ③腫瘍微小環境から時空間的なMDSC除去による抗腫瘍免疫の相加的な増加 ④局所で惹起された抗腫瘍免疫の転移部への全身性効果が考えられた。全身性の反応は、サイトカインアレイにより証明された。また中和抗体を用いた解析を行っており、抗腫瘍免疫の機序解明を行う。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
動物モデルの立ち上げと治療効果の検討、またその効果メカニズムへの検討が終わっており、PD-L1の発現割合にひした多大な抗腫瘍効果を、癌微小環境を改変することにより得ることができている。これらのコンセプトは、近赤外光線免疫療法を次世代に移行する学術的な基礎となる。本コンセプトは、効果の限界が明らかになりつつある、免疫チェックポイント阻害剤の効果を改変する新技術となりうる。また臨床応用に大変近い研究内容である。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、光による癌微小環境での免疫細胞変化など幅広く検討し、その革新的な効果を明らかにすることを検討しており、さらなる研究を継続する予定である。
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