研究課題/領域番号 |
21K07221
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 基金 |
応募区分 | 一般 |
審査区分 |
小区分50020:腫瘍診断および治療学関連
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研究機関 | 熊本大学 |
研究代表者 |
近本 亮 熊本大学, 病院, 教授 (10419640)
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研究分担者 |
有馬 浩太 熊本大学, 大学院生命科学研究部(医), 特定研究員 (10792616)
林 洋光 熊本大学, 病院, 講師 (80625773)
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研究期間 (年度) |
2021-04-01 – 2024-03-31
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研究課題ステータス |
交付 (2022年度)
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配分額 *注記 |
4,160千円 (直接経費: 3,200千円、間接経費: 960千円)
2023年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
2022年度: 1,300千円 (直接経費: 1,000千円、間接経費: 300千円)
2021年度: 1,430千円 (直接経費: 1,100千円、間接経費: 330千円)
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キーワード | 膵癌 / KRAS遺伝子点突然変異 |
研究開始時の研究の概要 |
膵癌は消化器癌の中でも極めて悪性度が高く難治性であるが、90%以上の症例がKRAS遺伝子変異を有し、膵癌の発癌進展メカニズムおよびその悪性度の高さに関して極めて重要な働きを担っている可能性が高い。これまでKRAS遺伝子変異は、下流遺伝子も多岐に渡るためundruggableな遺伝子と称され、詳細な分子メカニズムも未解明であったが、近年遺伝子変異の違いによって表現系が異なる可能性が示唆されている。膵癌、ひいては全癌腫におけるKRAS遺伝子点突然変異subtypeの癌化に関与する下流シグナルおよび抗腫瘍免疫を同定し、新規治療戦略を探索するTranslational researchとして大きな意義を持つと考えられる。
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研究実績の概要 |
本研究は、膵癌におけるKRAS遺伝子点突然変異subtypeの特徴を明らかにし、網羅的なトランスクリプトーム解析を行うことで既存薬が有効なsubtypeを同定することを目的とする。膵癌は最も難治性の消化器癌の1つであり、有効な抗がん剤治療は数少なく、効果も乏しいのが現状である。一方で、膵癌の90%以上はKRAS遺伝子変異を有する癌であり、数あるがんの中でも特にKRAS遺伝子変異が発癌・進展において極めて重要な役割を担っている可能性が高く、KRAS遺伝子変異のメカニズム解明によって最も恩恵を受ける癌の1つである。Undruggableと評価されたKRAS遺伝子の点突然変異subtypeの分子メカニズムの違いを明らかにすることにより、膵癌の新たな治療戦略となりうる。KRAS遺伝子下流の各種増殖シグナルには関連した既存薬が存在するため、ドラッグリポジショニングによる迅速な臨床応用が可能である。Translational researchとして大きな意義を持つと考えられる。今後、膵癌細胞株を用いた表現系の評価や膵癌組織由来オルガノイドを用いた表現系の評価、膵腫瘍モデルマウスを用いたin vivoにおける評価、および臨床検体を用いた膵癌におけるKRAS遺伝子点突然変異の評価と予後解析解析を行い、KRAS遺伝子点突然変異subtypeの特徴を明らかにしていく。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
オルガノイド構築にやや難渋しており、目的の表現系評価まで至れていない。また現在臨床検体サンプル整理、databaseのupdateを行い、遺伝子変異解析準備を行なっている。 臨床検体サンプル整理およびdatabase updateの過程で、膵癌周術期における輸血が術後生存期間に与える影響と、根治切除術後早期再発因子に関する検討を行い、臨床的に有益な結果と思われ、下記論文(Ono et al. Surgery 2022, Kitano et al. Pancreas 2022.)として報告した。
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今後の研究の推進方策 |
膵癌細胞株のKRAS遺伝子変異解析をpyrosequencing法にて行い、codon12、13を中心にできるだけ多種多様の点突然変異を有する細胞株を収集する。それぞれの細胞株の分化度や増殖能、浸潤能評価を行ったのち、EGFR阻害薬などのKRASタンパクの下流遺伝子を含む分子標的治療薬を投与し、治療効果の判定を行う。 熊本大学消化器外科で切除を行なった膵癌切除組織サンプルを用いて、膵癌オルガノイドを樹立する。樹立したオルガノイドのKRAS遺伝子点突然変異を測定し、分子標的治療薬のdrug screeningを行う。 In vitroで得られた結果で、最も分子標的治療薬に対する反応がよかった、もしくは悪かったKRAS遺伝子点突然変異subtypeの膵特異的Kras変異マウスを作製する。それらのマウスと当教室で保有している膵特異的KrasG12D変異マウスの表現系の違いを評価する。膵特異的KrasG12D変異マウスは、約12週齢で膵に前癌病変であるPanIN(Pancreatic intraductal neoplasia)を形成するが、場合によっては膵癌モデルマウスを作製するために我々が以前に用いた15-Pgdh遺伝子欠損マウス(Arima et al. Oncogene 2019)と掛け合わせて表現系を確認する。 膵癌組織から抽出したDNAを用いて、pyrosequencing法によりKRAS遺伝子点突然変異の測定のほか、膵癌で頻度の高いTP53、SMAD4、CDKN2Aの3つの遺伝子変異検索も行う。KRAS遺伝子点突然変異subtypeにおける臨床組織学的因子や他3種の遺伝子変異の相関、腫瘍内免疫細胞や予後との相関解析を行い、臨床的意義を検証する。
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