研究課題
基盤研究(C)
本研究では、PLK阻害薬耐性細胞およびAURK阻害薬耐性細胞に高発現しているAKT3の、阻害薬耐性および阻害薬が誘導する染色体分裂異常について解析する。増殖シグナルを標的とする8種の分子標的治療薬耐性細胞を用いて、複数の分子標的治療薬の効果を左右する薬剤耐性・感受性規定因子のネットワーク・相互関係を解析する。EMT細胞、SP(+)細胞への細胞転換と薬剤耐性を制御する機構を解析する。SP(+)細胞をSP(-)細胞に転換させる化合物を同定し、その機構を解析する。EMT細胞に有効な化合物を同定し、治療法の開発を目指す。
WEE1阻害薬adavosertib、CHK1阻害薬prexasertibは、細胞周期のG2/Mチェックポイントに作用して抗腫瘍効果を示す。ヒト乳がんMCF-7細胞より樹立したadavosertib耐性細胞およびprexasertib耐性細胞は、adavosertibおよび3種のCHK1阻害薬に数倍から数十倍の交差耐性を示した。cDNA microarray解析より、これらの耐性細胞でPI3K-AKT経路の活性化が示唆された。また、AKT阻害薬は耐性細胞のadavosertib耐性を低下させた。Myr-AKT1を強制発現させたMCF-7細胞は、adavosertibと3種のCHK1阻害薬に耐性を示した。以上より、AKTはWEE1阻害薬およびCHK1阻害薬の効果規定因子であると考えられた。Rho GTPase-activating proteinのファミリーに属するSYDE1がP-糖タンパク質(P-gp)と結合することを示した。SYDE1を強制発現させたヒト胎児腎HEK293細胞およびヒト大腸がんSW620-14-4細胞で、P-gpの発現量の増大が観察された。しかしMDR1 mRNAの発現量には変化がなかった。SYDE1導入細胞のvincristineおよびdoxorubicinに対する耐性度の比較から、SYDE1はP-gpのこれらの薬剤の基質認識には影響しないと考えられた。SW620-14-4細胞をcycloheximide処理すると、細胞膜上のP-gpの発現が減少したが、SYDE1導入細胞ではP-gpの発現量は変わらなかった。以上より、SYDE1はP-gpの細胞膜上の安定性を向上させてP-gpの発現量を増大させたと考えられた。ヒト大腸がんHCT116細胞にSLUG遺伝子を導入して上皮間葉転換(EMT)を誘導した116/slug細胞は、幹細胞性を有するSP細胞を高率に含み、種々の抗がん剤に耐性を示した。116/slug細胞およびヒト肺がんA549細胞に含まれるSP細胞の割合は、HDAC6の阻害活性を持つ3種のHDAC阻害薬の処理により低下した。116/slug細胞、A549細胞をHDAC6のsiRNAで処理すると、SP細胞の割合が低下した。以上より、これらの細胞のSP細胞の維持にはHDAC6が関与していることが示唆された。
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すべて 国際共同研究 (7件) 雑誌論文 (7件) (うち国際共著 5件、 査読あり 7件、 オープンアクセス 3件) 学会発表 (19件) 備考 (1件)
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